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私大 総合型選抜に「受かる」ポイントとは?

近年受験生が増えている私大総合型選抜。併願を認めている大学、3月まで出願できる大学など、大学によって入試内容は様々だ。志望理由書ほか、総合型選抜で合格するためのポイントを解説する。

  • 大学・短期大学進学 2023年 09月11日

近年、年内入試と呼ばれる「総合型選抜」「学校推薦型選抜」を選ぶ受験生が増えている。

本稿では、一番早く出願がスタートする私大総合型選抜について、最近のトレンドや押さえておきたいポイントについて解説していく。

河村卓朗(SINRO!編集長)

総合型選抜とは、
受験生の「今(高校生活)」と「未来(大学入学後)」に
フォーカスした入試?

 9月に入り、高3生にとっていよいよ大学受験シーズンが到来した。

 大学入試の方式は、「総合型選抜」「学校推薦型選抜」「大学入学共通テスト」「一般選抜」の4種類に大別され、それぞれに特徴があるので自分と相性がよい入試を選んでほしい。

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 ここ数年は、私大入試において「総合型選抜」の利用者が増えつつある。

最新の私大総合型選抜の試験日程一覧はコチラから
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 最も早い入試であるうえに高校からの推薦書が基本的に不要かつ、出願時の評定基準を設けない大学が多く受けやすいことが要因の1つだろう。

 総合型選抜の選抜方法は、一般に「学力型」「対話型」「実技型」に大別されるといわれている。本稿では中小規模の私大総合型選抜で主流となっている、「対話型」に焦点をあてつつ、解説を進めていく。

 ポイントは、「自分はどんな人物であるか」「志望校の学びのどこに魅力を感じたか」「その大学で4年間をかけて何を学びたいか」といったことを、いかに具体的なエピソードを交えながら書類や面接で表現するかだ。

 高校現場で先生方に講演を行うと、総合型選抜は高校生活(部活動や各種行事等)において特筆すべき活動実績を持っていないと厳しいか?という質問をいただくことがあるが、必ずしもそうではないと思う。

 この部分は高校生の「今」を評価するうえで確かに重要な要素だが、大学側はそれ以上に入学後(未来)に輝く可能性のある受験生を求めている。

 入学後のビジョンについて「学習計画書」を作成する際にぜひやっていただきたいのが、志望学科に関連する学びについて「入門書」のような易しい解説書を事前に読んでおくこと。

 たとえば、心理学に興味がある、身内の看病をした経験から看護師になりたいといった動機は立派だが、もう1歩進めて実際の心理学や看護学とはどのような学問か、面接の前にしっかり理解しておいてほしいという話である。

 実際に独自の知のコンテンツを高校現場に提供している大学もある。桜美林大学の「ディスカバ!」東京都市大学の「オープンミッション」では、大学の多彩な研究テーマを高校に提供し探究活動をサポートしている。このようなイベントに参加することも大学の学びを理解するために有用だ。

 

書類審査に通らないと面接に進めない!?

 総合型選抜では一次選考に書類選考を設ける大学が多い。なかでも、難関校の総合型選抜では、一次選考にあたる書類審査の合格率が30%を切るケースもあることをご存じだろうか?面接対策も大事だが、実はそれ以上に書類審査に通ることを意識して準備する必要がある。

 一次選考の書類の完成度が高い受験生の場合、面接はその内容を確認する程度で済む場合もあるなど、実は書類の出来栄えでほぼ勝負がついていることもあるそうだ。詳しくはこちら「合格できる志望理由書の書き方」をご覧いただきたい。

 志望校の求める人材像が明記された「アドミッション・ポリシー」の読み方についても、詳しく解説しているのでそちらもご覧いただきたい。

 

併願可の総合型選抜を実施する大学が増えている?

 今春行われた2023年度入試では、私大の中小規模校の多くが3年連続で一般選抜の志願者数を大幅に減らした。この状況を受けて、年内から確実に学生を集めるため、総合型選抜の試験回数増や、受験しやすい併願制の導入を検討する大学がさらに増えそうである。

 首都圏私大の総合型選抜といえば専願制(合格したら入学しなくてはいけない)が主流だが、桜美林大学、東京都市大学、産業能率大学、フェリス女学院大学、帝京大学、大東文化大学など、一部の有名大学では他大学を併願できる方式を実施している。

 特定の学部で併願可の方式を実施している大学も複数あり、今後も導入を図る大学が増えそうだ。

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総合型選抜は年内だけではない。
3月まで実施する大学も多い!

 総合型選抜は年内入試と思われがちだが、実は中小規模校では3月期まで試験を実施している大学も少なくない。前回入試では、首都圏で2月中下旬から3月にかけて総合型選抜を実施した大学は54校もあった(弊社調べ)。

 今年2月に弊社Webページ「2月以降に出願できる大学」でこの情報を公開したところ、高校現場だけでなくメディアからも反響があった。つまり、まだあまり知られていないのだ。

 

総合型選抜+一般選抜(3月期まで)の長期戦略で
合格チャンスを広げたい

 総合型選抜で中小規模校を狙う場合、2024年度入試では一般選抜も視野に入れた入試対策をおすすめしたい。総合型選抜で思うような結果を残せなかった場合は、一般選抜も受けてみよう。

 特に中小規模校は今春の一般選抜で倍率が下がった大学が多い。なかでも志願者が激減している後期入試、いわゆる3月入試はライバルが少なく、ねらい目となる可能性が高いのだ。また、前述した3月まで総合型選抜を実施している大学を受ける手もある。

 このような長期戦を前提に受験対策を立てておけば、合格チャンスが大きく広がるはずだ。最後まで納得のいく受験対策を進めていただきたい。

 

本稿のポイント

  • 志望学科に関する理解を深めておく(入門書などを事前に読む)
  • 総合型選抜で併願可の大学が増えつつある(選択肢が広がる)
  • 総合型選抜を3月まで実施している私大もある(昨年の実施大学数は首都圏で約50校)
  • 年内に早々に決めるのではなく、3月まで粘るのも手

 

⇒『SINRO! no.10』の桜美林大学東京都市大学を見る

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