総合型選抜の対策は、まず書類審査の突破から!
今年で2回目となる、総合型選抜の出願がまもなく開始される時期になりました。
総合型選抜では、一次選考としてまず書類審査を課す大学が数多くあります。
志望理由書は、一次選考を突破するための重要な書類であるということを改めてご理解いただいた上で本稿をお読みください。
9月に入り、いよいよ総合型選抜の出願がスタートします。10月を過ぎれば学校推薦型選抜も出願が始まるなど、息つく暇なく書類と面接の出来がキモとなる、推薦系の入試が続きます。
高校生が書いた志望理由書の添削を行っていると、その中身の抽象度や当たり前のルールが守られていないことが気になります。ルールに関して詳細を述べることは割愛しますが、相手に読んでもらう(出来れば気持ちよく)書類であるという意識は評価してもらうための最低条件だということは肝に銘じてほしいです。
誤字脱字や原稿用紙のルールを守らない、漢字が書けていない、「3」と「ろ」の違いが判らないなど、とても高校生とは思えない「ルール違反」が混在しています。制限時間内に書かなければならない文章ではないからこそ、丁寧に書いてほしいものです。
また、その中身ですが抽象的な表現が散見されることも特徴です。
「世界をまたにかけた…」や「触れ合ったすべての人を笑顔に…」など一見すると立派なのですが、内容が全く伝わらない表現で自分に酔っている文章を書く生徒や実体験を伝えたいのはわかるのですが、「文化祭で協力して頑張りました。」「部活動で協力しあう大切さを学びました。」など、結局何をしたのかがわからないものが自信満々に提出されてきます。
読み手が具体的にイメージできない内容では、何を伝えたいのかわからず、評価されにくいということを、作成する生徒さん及びその指導に関わる人は肝に銘じておくべきです。
書類審査(一次選考)に通った先に待ち構える、面接試験においても同様で、常に相手の頭の中に映像を浮かべるイメージで具体的に表現していくことを心掛けると良いと思います。
このようなことも含めて受験校(大学などの上級学校)が評価する志望理由書とは、どのようなものかを説明していきます。まず、評価される能力ですが、以下の3つの能力が挙げられるでしょう。
上記に挙げた能力を自分が所持していることを具体的に提示することで、相手は作者の能力を高く評価していきます。これらのことを認識させる文章を記載するためには、情報収集が重要であり、情報収集の量が多ければ多いほど良質な志望理由書を作成することにつながります。
情報収集の基本として、志望校のオープンキャンパスにはぜひ参加してみてください。
情報収集の手法については別表を参照いただきたいのですが、上記能力を保持していることをアピールしていくためには、上級学校の存在意義の一つである「社会に貢献する」ということと絡めた「将来のビジョン」との関連性がある情報などを意識的に収集していくことで、自己の能力がそれを実行することが可能なことなどを客観的(誰が見てもわかるよう)に示すことが出来るようになります。
同時に、実体験に基づいたトピックスを意図的に織り込みましょう。興味があるとした分野に対しての活動履歴や実際の取り組みは説得力を持ちます。主体的な行動や興味があることを示すために「フィールドワーク」にも積極的に取り組んでください。
ここで「フィールドワーク」について、簡単に説明します。
「フィールドワーク」とは、机上での情報収集ではなく、実際に情報の得られる現場に出かけていって、調査・研究することです。興味を持ったテーマに関する知識を備えた人に取材を行うことで、全く新しい見方や情報を得ることが出来ます。(注意点は別表参照)
興味がある=アクションを起こすという分かりやすいアピールにもつながりますので、積極的に「フィールドワーク」に取り組んでください。
アドミッションポリシーで、明確に学生の主体性や課題解決力を求めている大学や、特定の学部(経済・ビジネス系に多い)などでは、フィールドワークを通じた実体験の活動は評価されやすい傾向にあります。
また、社会に出てからも経験値として役立つことが多いので身近なテーマからフィールドワークに取り組んでみましょう。
最後に、志望理由書・小論文・面接ともに共通することは、「いかに相手を説得するか」ということであり、そのためには自身のターゲット校及びその専門分野に関する「情報」を数多く持っているかということがとても重要であるとわかります。
何かを「書く」「話す」際に、その行為そのものの練習に意識を向けるだけでなく、中身の充実を意識し、他の受験生と本質的な差をつけることで志望校合格につながるように取り組んでほしいと思います。皆様の志望校合格をお祈りしております。
(進路企画 進路総合研究所 所長 新沼正太)