経済産業省の予測では、2030年までにIT人材が79万人も不足すると言われています。
そのため、AI、データ解析、プログラミングなどデータサイエンス系の教育・研究に力を入れる大学が増えています。
幅広い業界の企業が注目する、データサイエンスを学べる大学・学部・学科を紹介します。
「データサイエンス」という言葉が、メディアを賑わせています。
AI(人工知能)の活用からスポーツのデータ分析、スマホの画像認識など、データサイエンスで学べる領域は多岐にわたります。なかには、文系の学びとデータサイエンスを組み合わせた学問領域もあります。
話題のデータサイエンスとはどのような学問なのか詳しく見ていきましょう。
今、データサイエンスに注目が集まっています。
データサイエンスとは、膨大なデータから社会やビジネスの課題解決につながる「価値」を見いだすさまざまな研究領域のこと。話題のAI(人工知能)、機械学習、統計データ解析、画像認識、音声認識などもデータサイエンスの一分野と考えていいでしょう。
ここでいう「データ」とは、インターネット上にある膨大なテキストや画像だけでなく、街角の監視カメラや自動車のドライブレコーダーから収集した画像、スマホで計測した生体情報など、あらゆるデータを指します。
データサイエンスは今や医療用の検査、気象予測、物価予測、マーケティング、物流の効率化など、幅広い分野で応用されています。データサイエンスは数学、統計学、コンピュータサイエンスなどがベースとなる理工系の学問領域ですが、最近は文系の経済学や社会学の研究領域で活用されるシーンも増えています。
今後、データサイエンスの知識は、誰もが身につけるべき基礎教養になるのかもしれません。
データサイエンスという用語は、決して新しいものではありません。単語自体は、統計の別名として60年代に登場し、90年代後半からコンピュータサイエンスの専門家がデータを扱う手法のひとつとして正式に使い始めました。そして、2010年代、「ビッグデータの時代」に突入し、データサイエンスという単語が一般的に使われるようになっていきます。
近年は、AI(人工知能)のパターン認識、画像認識、音声認識などを用いたさまざまな情報処理が、データサイエンスであると位置付けられることも多くなっています。機械学習やディープラーニング(深層学習)の知識もデータサイエンスを学ぶうえで欠かせないものといえるでしょう。
データサイエンスは、数学、統計学、情報学、コンピュータサイエンスなど幅広い学問領域が基盤となっています。
これらの専門知識を駆使して、データを収集、整理、分析、モデル化、可視化、評価する手法を身に付けて、さまざまな社会課題を解決することが、データサイエンスの目的だといえます。
データサイエンスが果たす役割は、膨大なデータから社会やビジネスの課題解決につながる「価値」を見いだすことにあります。インターネットや情報システムなどを用いるIT分野に特化した課題解決の手法と思われがちですが、近年は医療用の検査、気象予測、物価予測、物流の効率化など、幅広い分野で応用されています。
例えば、運送会社が宅配便を10カ所に届ける際に、どのようなルートを使えば最も効率的かを地図データから割り出すのもデータサイエンス。特定のがんの治療薬として役立つタンパク質を膨大なヒトのタンパク質データベースから探し出すのもデータサイエンスなのです。
データサイエンスを専門的に学ぶには、理工系大学の「情報」系学部・学科を選ぶのが一般的ですが、最近は、経済学部や経営学部、社会学部などでもデータサイエンスを学べる学科・コースが増えています。
前述の通り、データサイエンスは、IT系のデータ分析だけでなく、マーケティングや営業活動の効率化などにも使えます。文系を目指す受験生も注目すべき学問分野であることを頭に入れておきましょう。
この特集では、データサイエンスを学べる大学・学部・学科を紹介します。AIやデータサイエンスを学んだ学生に企業も注目しています。「大学で何を学ぶか決まっていない」という人は、データサイエンス系の学部・学科に進学して、将来につながる学びのテーマを見つけるのもいいかもしれません!
2022年からスタートしたデータサイエンス・AI教育プログラム※は、リテラシーレベルと応用基礎レベルの2段階で構成されています。中でも全学部・学科の学生が履修可能であるリテラシーレベルでは、全学共通科目の「データサイエンス・AI入門」をはじめ、「数学の基礎」、「確率・統計学入門/発展」、「プログラミング入門/初級」などの授業を用意しています。
※当プログラムは令和5年度 文部科学省「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)」に認定されました。
⇒『進路の広場』で駒澤大学を見る
明治学院大学情報数理学部は、2024年4月に開設した大学初の理系学部です。目標は、Society5.0時代において、AIやデータを活用できる人材を輩出すること。「数理・量子情報コース」「AI・データサイエンスコース」「情報システム・セキュリティコース」の3コースを擁し、学生の志向や卒業後の進路に合わせた最適なカリキュラムが整っています。既存の学部・組織との有機的な連携、産学官連携を目指す「情報科学融合領域センター」も併設されました。
⇒『進路の広場』で明治学院大学を見る
文理融合の総合大学である東洋大学では、複数の学部・学科でデータサイエンスの学びを提供しています。「文・芸・理」の知識を高度に融合させて組織や社会を変革できる人材を育成する情報連携学部、「文理融合」の3専攻で関心ある分野の専門性を高める総合情報学部、データ分析を「食」に応用するスキルを身につける食環境科学部フードデータサイエンス学科をご紹介します。
⇒詳しく見る:データサイエンスが学べる大学 vol.1 東洋大学
データの力で人と社会に貢献することを目指して、2023年4月に新設。既存の情報学部、理工学部、経済学部と連携し、過去に蓄積されたノウハウを最大限に活用することで、データサイエンスについてより深く、実践的に学ぶことができます。データサイエンス、データエンジニアリング、ビジネスの基本的な能力を磨き、社会の諸問題における課題発見から課題解決に至る過程でのデータ活用を実践します。
⇒詳しく見る:データサイエンスが学べる大学 vol.2 明星大学
2021年にデータサイエンス学部を開設した立正大学。コンセプトのひとつである「文系・理系どちらにも開かれたカリキュラム」の通り、幅広い領域にデータサイエンスの技術を活用しようと、4年目を迎える現在も多くの学生が課題や研究に熱意を持って取り組んでいる。自身も気象データ解析の専門家であり、データサイエンス学部で教壇に立つ平田英隆准教授に、教育の特徴や入試制度のポイントなどについて話を聞いた。
⇒詳しく見る:【立正大学】文系にも開かれた実践的なカリキュラムで それぞれの将来像に応じたデータ活用を学ぶ
大学進学情報サイト「データサイエンス百景」編集部