12月になり、今年から新しい制度となった学校推薦型選抜、いわゆる、これまでの指定校制推薦入試(以下、指定校)・公募制推薦入試(以下、公募制)の合格発表がはじまった。
弊社が懇意にさせていただいている首都圏の複数の高校では、指定校で落ちた生徒が若干いるようで、今後の進路選択についての相談が寄せられている。
なぜ指定校で落ちる事態が起きたのか。そして一般選抜までの時間が少ない中、今後どのような対策を立てるべきかを考えてみた。
「今年(2020年)の指定校は、入試改革を敬遠する層と、コロナ禍での先行きの見えなさから早めに進路決定をしたい層の両方からニーズがあるので、大幅な出願増が起きて大学によっては落とされることもあるかもしれない」と10月にこちらの記事でお伝えしたが、どうやら一部現実となってしまったようだ。
詳しい説明は上記の関連記事に譲るが、指定校とは、基本的に大学と高校間の強い信頼関係で成り立つ入試なので、大学側にとってはよほどのことがない限り「落とせない入試」だ。これは間違いのない話で、面接や課題をしっかりこなせば落ちる事はまずない入試だとご理解いただいてよい。
本稿でいう「指定校で落ちた受験生」というのは極めてレアなケースであり、ほとんどの指定校を受けた受験生には関係がない話だが、ごく稀に不合格者が出ているのも事実なのだ。
*首都圏私大の総合型・学校推薦型選抜 日程一覧(2022年度版)はこちら
ではなぜ、ごく少ない数とはいえ落ちることがあるかというと、たとえば大学側の予想を超えて指定校の応募があり定員枠がパンクした際に、面接や課題の出来が悪かった受験生が足切りされる可能性がまず考えられる。
この現象は、指定校枠がもともと多い中小規模の大学で特に起こりやすい。従来、指定校枠は与えられた全高校が使うことはまずありえないので、定員数の数倍分を交付する大学が多い。
そのため、多めに指定校を交付している大学で利用者が増えると、定員数を超える事態がしばしば起きる。それでもほとんどの大学は、これから実施予定の入試方式(総合型選抜の後期など)で予定している募集人員を減らすなどして、指定校受験者を合格させるのが一般的だ。
それでも不合格にする大学があるというのは、他の入試方式の募集人員を充当しても追いつかないほど、特定の学科の指定校に受験生が殺到したことが想像される。*指定校関連+合格に役立つ弊社関連コラムはコチラ
上記が指定校で落ちるという、レアケースの要因と解説であるが、直接不合格という被害を被った受験生にとっては死活問題だ。もちろん一般選抜で捲土重来を果たすのがオーソドックスな対応策であるが、中小規模の私大を指定校で目指して不合格になった受験生には、少し厳しい面もある。そこで提案したいのが、以下の2つの進路変更案だ。
① 関連校に編入学の枠を持つ短大・専門学校への進路変更
② 学びの分野が近くて教育に定評のある専門学校への進路変更
① に関しては、短大であれば姉妹校に大学をもつところがまず挙げられる。女子大であれば共立女子短期大学、大妻女子大学短期大学部、実践女子大学短期大学部、女子栄養大学短期大学部、東京家政大学短期大学部など、共学であれば帝京大学短期大学や日本大学短期大学部などだ。
また、関連大学が離れた地にある短大もねらい目となる可能性はある。たとえば上智大学短期大学部は神奈川県の秦野市にあるが、2020年3月卒業生のうち31名が上智大学へ編入学を果たしている。さらに他大学への編入学者も多く、千葉大学をはじめとする国公立大学に7名、上智大学以外の4大に73名が編入学するなど、合計111名が国公立・私立大学に編入学を果たしている。
いうまでもなくこれは短大の2年間でしっかり学んだからこその進路結果だが、すばらしい実績なのでぜひ一度チェックしていただく価値があると思う。このほかにも、拓殖大学北海道短期大学や國學院大學北海道短期大学部、國學院大學栃木短期大学なども編入枠が多いことで知られている。
また、専門学校の中にも姉妹校への編入枠を多くもつ学校がある。代表的な例は日本工学院専門学校から東京工科大学への編入枠と、専門学校 神田外語学院から神田外語大学への編入枠だ。この2大学を志望する人はぜひ知っておくべき情報だ。他にも駿台予備校の系列の駿台外語&ビジネス、トラベル&ホテル、電子情報&ビジネス、法律経済&ビジネス専門学校などにも、駿河台大学を中心とした大学編入枠がある。このほかにも数名規模の大学編入枠を持つ専門学校が複数存在するので、あわせてチェックいただきたい。
② に関しては、いま大学で人気の高い「情報(工学)・コンピュータ」、「建築・デザイン」や、大学入試で志願者数が多い「法律系」、「経済・ビジネス系」、「国際・観光系」などは、専門学校でも学ぶことが可能だ。
この場合、しっかりとした教育をしてくれる専門学校を選ぶことがなによりも大切で、授業時間数がしっかり確保され、講師のレベルが高く、就職実績が確かな学校を選ぶことが非常に重要となる。楽なだけの専門学校も中にはあるのでご注意いただきたい。詳しい選び方については姉妹サイトの専門学校LABOに詳しいのでぜひご一読を。
*専門学校選びをどう調べたらよいか分からずお困りの方は、お問い合せよりご相談ください。
残された時間は少ないが、本稿をお読みいただいた皆様ができる限りのリカバリーを講じて納得のいく進路を勝ち取っていただくことをお祈りし、応援したい。
(文責 SINRO!編集長 河村卓朗)