迷走が続いた大学入学共通テスト。6月19日の文科省からの通知には、学業が遅れた現役生は第2日程を選択することも可能との内容が記載されています。現役生は果たして第1日程と第2日程、どちらを選ぶべきなのでしょうか?
入試改革で最も迷走した大学入学共通テスト(以下、共通テスト)については、昨年11、12月に改革の目玉であった英語検定の使用と国語・数学での記述式問題がそれぞれ「延期」となり、今年度の実施はなくなりました。
*2022年1月15・16日に実施される、最新の共通テスト予測記事はコチラ
ここで取り上げたいのは、6月19日に文科省が教育機関に通知した令和3年度 大学入学者選抜実施要項(以下、選抜実施要項)に記載されている、共通テストの試験日程の取り扱いについてです。
注目すべきポイントは、現役生は出願時に1月16日・17日の第1日程か2週間後の1月30日・31日に実施される第2日程のどちらを受けるか選択できるという点ですね。内容を以下にまとめました。
6月30日に発表された共通テストの実施要項には、第2日程(1月30日・31日)の取り扱いについて、「学校長が学業の遅れがあると認めた者を対象とする。」旨が記載されています。
これは実質的に、高校で出願を取りまとめる段階で「学業が遅れている」と学校長のお墨付きをもらえれば、現役生は第1日程か第2日程かを選択できるわけです。
今年は共通テストの実施元年。問題の傾向を「いくらかは」分析できる第2日程の方が有利な気もしますが、これまでのセンター試験では追試の方が難度が高い傾向でした。果たしてどのくらいの現役生が第2日程を選ぶのでしょうか?
私は、私大入試を考えている方々は第1日程を受けた方が良いのではないかと思います。下記に考えられる理由をまとめてみました。
首都圏の人気私大の一般選抜試験日は、2月の1週目から始まる大学が少なくありません。
昨年ベースで考えるとまず2月2日頃から上智大の入試が始まり、5日~10日頃まで明大・法大・青学大・中大・立大などの全学部入試があります。共通テストの第2日程を受けた場合、数日後にこれらの試験がはじまるわけです。ちなみに関西の場合、近大は共通テストの第2日程と同じ1月30日・31日に前期A日程と共通テスト併用方式A日程の試験日を設定しています。
難関私大を目指す受験生にとって第2日程は、多少第1日程の試験問題の分析ができたとしても、出題傾向が異なる試験を続けて受けることになるわけで、それほどメリットがないようにも見えます。
第2日程を選んで体調不良となり、特例追試(2月13日・14日)を受ける事になった場合、気になるのは、試験問題の内容が旧センター試験の予備問題から出題される点です。
選抜実施要項にも「(特例追試の出題は)共通テストの作成方針によらない」との記載があります。つまり、共通テストと別物の試験内容となる可能性があるということですね。そして特例追試も得点調整はありません。
特例追試を受けた受験生と共通テストを受験した大多数の受験生とで一体どのような得点のバラつきが出るのか?これは大きな差異が出ないことを祈るばかりかもしれません。
更には特例追試の成績提供は2月18日~と例年の追試より遅いので、共通テスト利用型の入試を実施している私大(特に後期日程がない大学)の場合、入試方式によっては成績提供が間に合うのか?という問題も起きそうです。
こういったことを考えると、国公立大学を中心に考えている受験生以外は第1日程で共通テストをさっさと済ませておく方が安心なのでは?と思ってしまいます。
現役生の皆さんは7月末までに公表される各大学の入試要項をぜひしっかり確認して、共通テストを第1日程、第2日程どちらで受けるかを考えていただきたいと思います。
(文責 SINRO!編集長 河村卓朗)