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これまで身近だった指定校制推薦で落ちた!?~広がる高校現場からの悲鳴~

  • 大学・短期大学進学 2019年 12月03日

最近、複数の高校から「うちの生徒が指定校制推薦で〇〇大学から落とされた」というお話を聞く。大規模大学でというよりは、指定校を多めに出してきた小規模の私大で不合格となるケースが散見されるらしい。

今、私大入試で何が起きているのだろうか?

大学と高校の強い信頼関係で成り立つ指定校でも、稀に不合格となることが!?

指定校制推薦とは、大学が指定する「指定校」に選ばれた高校から出願する入試。高校内で選抜を行い、成績などの出願基準をクリアしてお墨付きを得た生徒が受けることができる入試形式だ。


そのプロセスを経ているので、基本的には指定校制推薦で不合格になることは限りなく少ない。

しかし最近、指定校の利用者が多い高校で、教員から見てもさほど問題がなさそうなレベルの生徒が不合格になるパターンが一部の地元大学などで散見されているという。

*2020年12月追記。学校推薦型選抜(指定校)で落ちた場合の対応策についての関連記事はコチラ

 

定員厳格化で推薦入試の受験生が増えたことも遠因か

ここで少し、近年の私大を取り巻く入試環境をおさらい。この数年、文科省による大手私大への入学定員抑制(厳格化)で大手私大が難化。滑り止めで受ける中小規模の私大にも受験生が殺到し、「入りやすい」大学が減ってしまった。

小規模大学では、この3年間で一般入試の志願者が3倍近く増えた例も珍しくない。こうした要因が、一般入試の難化を嫌う受験生の早期進路決定を促し、指定校制推薦やAO入試の利用者が増えていると思われる。

指定校制推薦が利用されやすい背景の1つに、5年ほど前まで、募集に苦戦していた一部の私大がかなりの数の指定校制推薦枠を高校に出していたということが考えられる。

指定校枠に予想以上の応募者が!?

指定校の仕組みを大まかに解説すると大体の大学では、たとえば100名の指定校の定員を埋めるために、その何倍もの人数分の枠(募集難の大学は10倍以上出す場合もあるらしい)を、様々な信頼のおける(と、大学が判断する)高校に交付する方法を取っている。

交付先の高校のうち何割かの受験生が指定校制を使用し結果、想定した募集枠が埋まるという形だ。予定数を多少オーバーする応募があることも当然あり得る。

早期に大学進学が決まる指定校制推薦を特に活用しているのは、地元の中小大学への進学者が多い高校で、スタンダードな進路選択の1つとなっている。

大学側も年内に入学者が確保できるメリットがあるので、中小規模の私大では積極的に指定校を活用するところが多い。

特に5年前くらいまでは、中小規模の大学では指定校枠を多く出す大学も多く、高校側も地元の中小規模私大への進学ルートとして重宝し、受ければ確実に合格していたはずだ。

そうした経緯をご存知の高校の先生であれば、「中堅以下の大学の指定校で落ちることなどまずない」と思ってしまうのも無理からぬことなのだ。

 

ここ数年、指定校制推薦枠を見直す大学の動きが加速中

ところが、ここ最近の一般入試の難化に驚いた高校生が安全志向で指定校制推薦にシフト、一気に利用者が増えた。これまで一般入試を第一に考えていた進学校からも利用者が増えたことで、さらに拍車がかかった形だ。

このような背景から中小規模の地元大学の指定校推薦を活用する受験生が増えており、大学の想定以上に受験生が集まっているようだ。

実は指定校人気の高まりを受けて昨年ごろから、成績基準を上げる・枠を減らすなど、推薦基準の見直しを図る大学は増えていた。

それでも利用者は増える一方で、今年の入試でも多くの大学で前年を上回る受験者が出ているようだ。来年も指定校制の見直しは続き、高校・受験生にとっては厳しい状況が続きそうである。

*2021年7月追記 指定校関連+合格に役立つ弊社関連コラムはコチラ

指定校は100%合格と思わず、基本的なことをしっかりと

このような事情があり、大学によっては指定校制推薦に受験生が集まりすぎた場合、定員枠の問題で何名かを落とさざるをえない状況がうまれているのだろう。

落とされてしまうのは、面接や小論文の内容が「(志望する)大学の学びと志望内容が合っていない」「コミュニケーション能力に疑問が残る」など、準備が甘いと判断された受験生の可能性が高い。

言い換えれば、大学の方は選抜をする余裕が生まれたのだろう。

準備ができている受験生を大学側の都合で落とすべきではない

ここで取り上げた「不合格」の例は、最低限の準備が出来ていない受験生のケースで、しっかりと面接や課題への対応が出来ている場合は別だ。

冒頭でも述べたが、指定校は高校と大学の強い信頼関係で成り立つ入試だ。これを予想以上に集まったから、などの大学の一方的な都合で準備ができている(と、思われる)受験生まで落とすようなことをすると、確実に高校との関係に亀裂が生じ長い目でみて大学が損をする危険性があるので注意していただきたいと思う。

今年(2019年)はセンター試験最後の年で、来年度からは大学入学共通テストがスタートするなど、まだまだ一般入試の混乱は続く。

指定校で確実に進路を決めたい高校生は多く、今後もこの難化・高倍率化が進むことは十分に考えられる。

だからこそ、校内選抜に通ったからといって気を抜かず、受験する大学の学びへの関心を高め、最低限の調べや準備を済ませて指定校推薦に臨んでほしい。

2020年9月現在の総合型選抜・指定校の関連記事はこちら

(文責 SINRO! 編集長 河村卓朗) 

 

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