「医系総合大学」昭和大学で学ぶ最先端の「チーム医療」とは?
「超高齢社会」を迎えた日本において、医療現場の人材育成は国家レベルの課題だ。感染症対策など新たな課題も増え、医療現場の仕事はますます高度化している。
コロナ禍が続く今、医療従事者を目指す高校生は、大学で何を学び、どのような未来像を描くべきか。
「看護師」「理学療法士」「作業療法士」を育成する3学科を擁する昭和大学保健医療学部で、現場で指導にあたる教員の皆さんに最先端の学びについて伺った。
下司 昭和大学は、医学部、歯学部、薬学部、保健医療学部の4学部6学科を擁する「医系総合大学」です。
4学部が連携して「チーム医療」を学べる実践的なカリキュラムを展開している点、さらに8つの附属病院で多彩な実習を受けられる点が私たちの大きな強みといえるでしょう。
大滝 保健医療学部は、看護学科、理学療法学科、作業療法学科の3学科で構成されています。
各学科の学生たちは、学内の授業と附属病院での実習が密につながる好環境をフル活用して、将来の医療現場を実体験しながら学んでいます。
対面授業においても学生たちが主体的に学べる環境を整えるために「感染管理教育」を徹底しています。手の洗い方から正しい個人防護具の付け方・外し方など、医療人として必須となる知識と技術を身につけ、さまざまな課題に取り組んでいます。
大塚 学内に「PCRセンター」を設置し、附属病院での実習前に全学生がPCR検査を行い、安全性を担保できる環境も魅力でしょう。
他大学の医療系学部でもこのレベルの感染管理体制を整えているところは少ないと思います。
下司 対面での演習や実習にこだわる一方、コロナ禍を教育改革のチャンスと捉え、授業のICT化も積極的に進めています。
これは、大教室で行う授業をそのままオンラインに移行するだけではありません。授業内の時間を細分化し、事前学習、グループディスカッションなどを組み合わせて、アクティブラーニング形式、つまり「双方向型」の授業を展開しています。
増山 自宅でいつでも視聴できるオンデマンドの授業動画で予習をして、オンライン授業では双方向型の議論を中心に行う流れができたことで、学生たちにも自ら学ぶ姿勢が身についた気がします。
下司 医療現場と同じ設計の病室を学内に用意して、シミュレータを使った教育なども実施をしています。また、今後も授業のICT化にますます力を入れていく予定です。
大滝 まず看護学科では、看護師課程、保健師課程(学内選抜)を用意し、理論と実践の両面から「人間」を深く理解した看護のスペシャリストを育成しています。
数ある看護系学科の中で、昭和大学保健医療学部の特長といえるのは、やはり8つの附属病院における手厚い実習サポートでしょう。実習先の看護師、医師のほとんどは昭和大学の卒業生という環境で、丁寧な指導を受けながら、自分の将来像をイメージすることができます。
また、理学療法士、作業療法士を育成する学科と連携しながら「対象者の生活に寄り添える生活支援のプロ」を目指せる点も魅力でしょう。
大塚 理学療法学科では、リハビリテーションのプロである理学療法士の国家資格取得に向け、さまざまな運動療法、物理療法などを学びます。
昭和大学保健医療学部の強みは、やはり学内の授業と臨床実習がシームレスにつながっている点に尽きます。大学と附属病院が密に連携しているので、授業と臨床で教わる内容に差異がありません。
また、最近のリハビリテーション現場では、口や鼻からの吸引や口腔ケアの知識が求められる機会が増えています。
医学部や歯学部もある昭和大学では、専門外の知識も横断的に学べる環境があるのがいいですね。
増山 作業療法学科で学ぶ作業療法は、身体や精神に障害を抱えた患者さんの社会生活能力の回復・発達を目指すもので、遊びや仕事などの「作業活動」を用いて、支援を行います。
カリキュラムは、国家資格である作業療法士を目指す目的で構成されています。
理学療法士の仕事との違いは、メンタルケアの側面が強いところにあるかもしれません。そのため、臨床実習にも独特の難しさがあります。
そこで頼りになるのが、「臨床教員制度」です。これは、附属病院の臨床現場で働く作業療法士が教員として学生の指導を担当してくれる制度で、実習中の学生に関する細かい情報を共有しながら進められる安心感があります。
また本学は精神神経科専門の病院を有しており、これは附属病院を持たない大学には絶対にないメリットだと思っています。
下司 「臨床教員制度」は、もちろん3学科共通です。教育職員として採用された臨床教員は、最先端の臨床のプロとして現場で教育指導に従事しています。
大滝 学生時代から他職種とともに学ぶことが自然な環境だったので、臨床の現場でも臆することなく相談や議論をすることができました。
大塚 私は3年次の「チーム医療演習」で5~6人に分かれてグループディスカッションをしたことを覚えています。紙面上で脳卒中の模擬ケースが紹介され、現在どのような状態で、どのように介入・ケアするのかをまとめる演習でした。
私は、看護学科や作業療法学科の学生から、健康状態や生活全般を多角的に評価する重要性を学びました。また、理学療法士の役割として、対象者の想いや目標に向かって、日常生活動作の困難さをどのように改善するかが重要だと再認識しました。
この演習で、自分たちと異なる視点の重要性と将来の自分の役割を意識しました。その経験は、卒業後勤めた、介護老人保健施設や病院での仕事で大いに役立ちました。
例えば、ベッドから車椅子への「移乗」の介助方法について、職種間で方法が統一されておらず、患者さんが混乱することがありました。そこで、理学療法士の視点から方法を提案し、最善策を多職種で議論して、介助方法を決定しました。
自らの専門領域の情報を多職種と共有する姿勢は、昭和大学の学びで身についたと思います。
増山 私も作業療法学科を卒業後に勤務した地域の病院で、患者さんの情報を先輩看護師と共有できない状況を経験しました。そこで、「自分に何ができるか」と改善策を提案できたのは、昭和大学で学んだ経験があったからこそだと思います。
大滝 これは、あえて申し上げるのですが、「コロナ禍だから」といって医療現場で求められる人材像が変わることはありません。
いつの時代も「患者さんに寄り添う心がある人」が求められていると思います。大切なのは、人と徹底的に関わることです。
その点で、昭和大学で50年以上続いている富士吉田キャンパスでの全寮制の初年次教育が非常に重要だと思っています。
ここでは、学部の違う4名の学生が同じ部屋で共同生活をします。つまり、医学部、歯学部、薬学部、保健医療学部の学生が同じ空間を共有するのです。私は、これこそ「チーム医療」の基盤だと思っています。
下司 コロナ禍で、富士吉田キャンパスの初年次教育も困難な状況が続いています。
ただ、感染管理体制を十分整えた上で、昨年も今年も可能な限り実施しています。
学生たちは共同生活によって、医・歯・薬・保の壁を越えて、相手の立場に興味・関心を持つようになります。やはり富士吉田を経験することで、昭和大学の卒業生に脈々と受け継がれる精神が身につくと思っています。
大滝 保健医療学部の国家試験合格率や就職実績はいずれも好調です。国家試験対策や奨学金制度も充実しています。
富士吉田での初年次教育や附属病院での手厚い実習など、教育環境の整った昭和大学で、患者さんに寄り添う人間性を磨いてほしいと思います。
大塚 本学卒業のゴールは、資格取得ではありません。その先の社会で、患者さんとどのような関係づくりができるかを幅広く学ぶ場だと思っています。
理学療法士として、社会に貢献できるスキルをここで身につけてください。
増山 私も大塚先生と同様なのですが、専門職はどうしても視野が狭くなりがちです。
作業療法士として専門分野に閉じこもらず、積極的に「チーム医療」を推進できる人材になってほしいと思います。
下司 コロナ禍で医療現場の仕事に注目が集まっています。
医療従事者を目指す上で何より大切なのは、本学の理念である「社会に貢献したい」という気持ちです。これがあれば、理系科目が少々苦手でも大丈夫です。
2021年度からは、保健医療学部の全学科で「数学」の代わりに「国語」を選択できる選抜方式も導入しています。ぜひ昭和大学から医療人への第一歩を踏み出してください。
昭和大学保健医療学部では、全学科で行う推薦· 一般· 共通テスト利用において、「国語」を選択できる受験方式を2022年度入試でも継続します。
「外国語」「理科」の必須2教科に加え、「数学」「国語」から1教科を選択できるもの。
「数学が苦手だが医療に携わりたい」という受験生にもチャンスが広がっています。
今年度から総合型選抜入試が始まりました。
学科試験は実施せず、1次試験では高校時代の活動と面接で選抜され、2次試験で小論文、面接、模擬授業の総合点で合否を決めます。
入試のチャンスが広がり、早期に入学を決めることで大学進学に向けて高校時代の復習に費やすことができます。
⇒『進路の広場』で昭和大学を見る