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【東京農業大学】文系・理系をスムーズに結びつけて学ぶ 未来を変える東京農大の「農学」とは

経済・経営からAIまで、最先端の現場が舞台の実学教育を展開

  • 大学・短期大学進学 2024年 07月31日

文理融合で課題解決に取り組む「農学」が社会的に注目を集めている。
食や環境、エネルギー、医療、地域創生など、私たちの生活に欠かせない学びのテーマを幅広くカバーするのが農学。

そして東京農業大学は、創立以来130年の歴史と成果をもとに、未来をつくる農学教育を展開してきた。
6学部23学科のうち12学科で文系科目のみの受験ができる一般選抜もあるという。

学びの魅力や入試方式について、千葉晋副学長に話を伺った。

聞き手・構成 河村卓朗(SINRO!編集長)

総合科学である農学を武器に
実社会の多様な課題に立ち向かう

―東京農業大学は文理融合で幅広い領域の学びを展開していますが、改めて「農学」という学問の魅力や可能性をお聞かせください。

まず初めに知っていただきたいのは、農学は「総合科学」であり、扱うテーマがとても広い学問だということです。

農作物の生産だけでなく、作物が病気になることを防ぐ病理学や品種改良を行うための育種学なども関係します。つくったものを売るためには流通や経済のことを考える必要がありますし、生態系や自然を守りながら持続可能な社会を目指す試みは昨今のSDGsの課題とも深く結びついています。

また、最近はAIと農学を結びつけた課題解決も活発ですね。ドローンで農薬を散布して農作業の自動化を目指す研究や、味の評価予測をAIによって行い日本酒のグローバル展開を後押しするモデルの開発など、6学部で多様な研究が繰り広げられています。

本学では2023年度から全学を対象にした「数理・データサイエンス・AI教育プログラム」を展開しており、データ分析やAI活用の基礎的素養はここで身につけることができます。

―6学部23学科を擁する貴学で、特にユニークな研究や文理融合の特徴的な学びがあれば教えてください。

最近の話題で言うと、農学部動物科学科の庫本高志教授が“おなかにやさしい牛乳”として人気急上昇中の「A2ミルク」を生乳から特定する技術を開発し、新聞やテレビなどのメディアでも大々的に取り上げられました。A2ミルクの開発は酪農家の売り上げに寄与すると期待されており、乳糖不耐症の方にも安心な牛乳を安定的に供給するための画期的な研究です。

東京農業大学のユニークな学びとして、経済・経営系の学科(国際食料情報学部食料環境経済学科とアグリビジネス学科)にも注目していただきたいです。農家や市場、小売店など、食や農業にまつわるリアルな現場を舞台に経済学・経営学を学べるのがポイントで、実社会とのつながりを常に意識することができます。経済・経営をわかりやすく学ぶ入り口として最適だと自負しています。

事前課題を課す推薦系入試や
文系受験が可能な学部・学科も

―千葉先生が教えておられる北海道オホーツクキャンパスの生物産業学部についても教えてください。

生物産業学部では、農産品の生産から加工、流通までを1次産業の最先端のフィールドで学び、地域資源を有効活用する実践力を養います。

このキャンパスは、9割の学生が北海道外からの入学者です。同じ日本でも文化や気候が異なる場所で学ぶ経験は、まるで国内で留学しているようなイメージかと思います。多様な背景を持つ同級生や先輩・後輩、地域の方々との関わりのなかで、学生たちは社会人として生き抜くための力を身につけていくのです。

生物産業学部では、併願型と専願型の2つの総合型選抜を実施するなど、多彩な選抜方式で受験生を受け入れています。

―入試について、「一般学校推薦型選抜」と「キャリアデザイン総合型選抜」では事前課題を課していますが、評価軸をお聞かせください。

事前課題では、学部・学科ごとの学びの内容や求める人物像に沿ったテーマを設定しています。2024年度の応用生物科学部栄養科学科を例に挙げれば「AI 時代における管理栄養士の役割と今後について総字数1200字以内で述べなさい。」といったものですね。まずはこの課題について書籍やインターネットなどで知識を得ることによって、大学でどのようなことを学びたいのかに接続して考えてほしいと思っています。

また、選考では口頭試問(面接)も実施しています。ここで事前課題に関する質問もしますが、課題の内容を暗記して答えてもらうというよりは、課題を通して考えた大学で学ぶ意志の強さや熱量を評価したいと思っています。過去の事前課題はホームページにも掲載しているので、参考にしていただきたいです。

―一般選抜では文系科目で受験可能な学科が複数あります。この狙いについても教えてください。

文系科目のみで受験できるのは、4学部12学科に及びます。3教科を選択するスタイルで、1教科目は指定科目の「英語」、2教科目は選択Ⅰとして「国語」「数学」から選択。そして、3教科目は選択Ⅱとして「理科」「地理、歴史、公民」にあたる分野から1教科を選択します。例えば「英語」「国語」「歴史」を選択すれば、文系科目のみの受験が可能です。

学科の学びのために必要になる理系科目は入学後にフォローアップする体制が整っているので、苦手意識があっても後々勉強する意思がある人には、得意な文系科目での受験も検討してほしいと思っています。

一般選抜で文系科目で受験可能な4学部12学科/生物産業学部2025年度入試新情報
―最後に、東京農業大学をめざす受験生と保護者にメッセージを。

食料危機や気候変動による生物資源への影響など、「食」や「健康」、「生きること」にまつわる課題が全世界規模で噴出している現代において、農学はとても重要な学問領域として注目度が高まってきています。

農学の魅力のひとつは、文系・理系の領域をスムーズに結びつけながら学べることです。学問は文系・理系と分けられるのが通例ですが、社会に出て課題解決に取り組む際には文理の垣根を越えたアプローチが不可欠。

そうした実感を、大学生の間に身につけてほしいと思っています。

お話を伺った方

東京農業大学
千葉 晋 副学長
2001年、北海道大学水産科学研究科博士後期課程修了(水産科学博士)。2004年に東京農業大学に着任し、現在は生物産業学部海洋水産学科教授。2021年より副学長。

⇒『進路の広場』で東京農業大学を見る

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