理工系女子向け、音楽経験者向けなど、受験生の個性を評価する入試
文系と理系の8学部17学科がワンキャンパスに集う玉川大学。
入試では受験生と大学の相互理解を重視するため、総合型選抜において志望理由や将来計画などを記載する「コミュニケーションシート」の提出を課すなど、独自の方式を展開してきた。
2025年度入試では「音楽選抜総合型入学審査」や「総合型入学審査(Ⅲ期)」を新設。
玉川大学の入試の傾向や期待する受験生像について、坂井義孝入試広報部長に話を伺った。
聞き手・構成 河村卓朗(SINRO!編集長)
2025年度から全国的に新課程に対応した入試が始まります。
玉川大学では、新課程で重視される英語4技能をより詳細に評価するため、一般選抜の「英語」科目において個別試験ではなく外部試験を利用する形をとります。大学個別の英語試験は実施せず、英語外部試験(英検等)の換算点または大学入学共通テストの「英語」(リスニング含む)の得点による換算点を採用します。試験前は英語以外の科目に注力することができ、科目の選択次第では1科目受験も可能です。
また、私立大学は総合型選抜や学校推薦型選抜といった年内入試の志願者が大幅な増加傾向にあります。本学も受験生に多様な受験機会を提供するために2024年度から「理工系女子総合型入学審査」を開設し、2025年度には「音楽選抜総合型入学審査」を新設します。
「理工系女子総合型入学審査」を新設した背景には、理工系の業界における女性の活躍を推進し、ダイバーシティな社会の創出に貢献したいという思いがありました。農学部と工学部の全学科を対象として実施し、1年目は想定以上に志願者が集まったと思います。
合格率についても約8割と、他の入試よりも高い結果になりました。なかでも、大学入学後の将来像や目的意識を強く持った志願者が多い傾向にあったと思います。
玉川大学は創立当初から教育による人格形成の重要な要素のひとつとして「音楽」を大切にしてきました。必修科目に音楽があり、その成果として12月にはパシフィコ横浜を舞台とした音楽祭でベートーヴェンの「第九」を合唱します。
新設する「音楽選抜総合型入学審査」は、そうした本学の特徴を反映したものです。合唱もしくは楽器演奏の経験者が出願することができ、入学後は本学での「合唱団」または「管弦楽団」での活動継続が必須となります。この入試は海外留学が必須である3学科を除く7学部14学科が対象です。音楽を楽しみつつ、志望する学部で充実した学生生活を送ってほしいと思っています。
これは、これまで3月に実施していた一般選抜の後期日程に代わって新しく設置する試験です。個別の筆記試験はなく、出願書類をもとに面接とエッセイをメインとして選考を行います。他大学との併願が可能で、既卒生であっても出願することができます。
4年間の学生生活をどのように送っていくのかといった高い目的意識が合格のカギになるので、年内の入試で結果が振るわなかった受験生にもぜひ再チャレンジしてほしい試験です。
コミュニケーションシートでは、玉川大学の教育に対する理解度や本学で学ぶ意欲・目的意識などを判断しています。
このシートには「部活動で部長を経験し、人をまとめる力が身についた」といった単なる経験を羅列するのではなく、その力を大学の学びにどのように活かしたいのかといった将来の目標を書いてほしいと思っています。高校での学びと大学での目的意識をうまく結びつけることができれば、ミスマッチなく4年間の学習に取り組んでいただけると思います。
オープンキャンパスで配布している「大学受験準備ノート」は、自分の将来なりたい職業や志望学部で学びたいことについて書き進めていくことで、コミュニケーションシートやエッセイを書くための素材が十分に集まるようになっています。大学受験全体に役立つものなので、将来に対する考えをまとめるためにぜひ活用してください。
近年、就職活動がどんどん前倒しになり3年次までに単位を取り切る動きが増えつつありますが、学生の本懐は“しっかり4年間学び続けること”だと本学は考えています。そのため玉川大学では、半期(1セメスター)で履修できる単位数を16単位に制限する「CAP制」を設けています。
1年次からキャリア教育の機会もあり、就活支援についても万全の体制です。予習・復習の時間を取りながら余裕を持って一つひとつの科目を修得することで、各科目を深く理解してもらいたいと思っています。
高校生にお伝えしたいのは、1年生の時点で、自分が年内入試か一般選抜どちらを受験する可能性が高いか見極めてほしいということです。特に、年内入試は評定平均が重要になることも多く、日頃の学習態度が大事になります。
自分がどの入試で力を発揮できそうなのかを考えつつ、日々の学校生活を楽しんでほしいと思います。
玉川大学
坂井 義孝 入試広報部長
大手予備校で受験生ならびに保護者の進学指導を長年担当。全国の高校営業を通じ、進路講演等も数多く手掛ける。2015年より現職。
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