関東圏大規模私大初の学力テストを課す併願可能な年内入試の狙いとは?
東洋大学は、かねてより大学で学ぶための「学力」を重視する入学者選抜を行ってきた。
近年は、「英語外部試験利用入試」、5教科・4教科の「多教科型入試」、文系学部における「数学必須入試」などを実施。
2025年度入試から“併願可能”な学校推薦型選抜を導入することを表明し、業界で話題になっている。
加藤建二入試部長に東洋大学がめざす入学者像について聞いた。
聞き手・構成 河村卓朗(SINRO!編集長)
大きな流れとしては、2024年度入試では、一般選抜から年内入試へのシフトがこれまで以上に進んだ印象です。近年、併願可能な総合型選抜、学校推薦型選抜の導入大学が増えており、年内入試がさらに受けやすい状況となっています。
これを受けて、東洋大学も併願可能な年内入試を導入する方針です(後述)。
こうした状況下ではありますが、東洋大学は一般選抜を主軸とした学力重視の入試戦略を続けています。具体的には「多教科型入試」「英語外部試験利用入試」「数学必須入試」といった特色ある方式を採用しています。
一般選抜離れが叫ばれるなか、2024年度入試の一般選抜志願者数は、前年比で1万5000名以上増となる10万2910名でした。しかも入試スコアや出身高校を根拠とした入学者の学力レベルも向上しました。これは、「私たちはこういう受験生を受け入れたい」というメッセージが届いたのだと考えています。
一般選抜の各方式についてご説明しましょう。東洋大学の入試方式の象徴といえるのが、2011年度からスタートした「多教科型入試」です。2024年度入試では、5教科・4教科型入試の入学者占有率が全体の14%になりました。さらに、文系9学部への導入を進めている「数学必須入試」の入学者占有率も17.6%に達するなど増加傾向にあります。
もうひとつ顕著だったのは、英語外部試験利用者の増加。東洋大学では、一般入試前期と共通テスト利用入試前期での英語外部試験利用が可能で、2024年度は全学で57.5%の受験生が利用しました。
これらのデータは、グローバル化、デジタル化が進む社会の中で「主体的に社会課題に取り組む人材の育成」を目標に掲げる東洋大学の教育に合致する入学者を確保できていることを証明しています。総合型選抜や学校推薦型選抜等の年内入試でも、英語外部試験のスコアを出願資格等として活用する範囲を拡大中です。
2025年度入試の大きな変更点は、“併願可能”な学校推薦型選抜「学校推薦入試基礎学力テスト型」の導入です。これは関西圏の大学ですでに導入が進む方式で、関東圏の大規模私立大学では初の試みとなります。
ポイントは、これまで小論文・面接や課題論文提出が中心だった学校推薦型選抜に、2教科・2科目(英語・国語または英語・数学)の基礎学力テストを課すこと。英語に関しては、英語外部試験のスコア利用も可能です。試験日は2024年12月1日で、合格発表は年内。その後、最終手続きの〆切は、2025年2月28日となります。
年内入試でも学力の担保をめざし、学力試験を課す入試の募集人員を増やすことが狙いです。
一部の総合型選抜(公募制)の出願資格にも「学力証明型」を導入します。これは経済学部第一部経済学科で行う「自己推薦入試(公募制・専願)」が対象で、志願者は英語外部試験のスコアをクリアしたうえでオンラインによる「事前適性検査(数学)」を受検し、学科の定めた学力規定を満たすことを証明すると出願が可能になります。
2025年4月からすべてのキャンパスの多様な学問を連携・融合する「総合知」教育をスタートします。どの学部に入学しても東洋大学14学部の科目を柔軟に履修できる新しいカリキュラムになります。
もうひとつは、「キャンパス内留学 英語講座」の無償化です。これは2015年度から導入している授業の空き時間に学内で受講可能な英会話レッスンで、1クラス4名程度の少人数制グループレッスンを半期につき50回、マンツーマンなら10回が無料で受けられます。
その通りです。生命科学部、食環境科学部の2学部・6学科を擁する「いのち(命)と食が輝くスマートキャンパス」が誕生しました。特に食環境科学部に新設されたフードデータサイエンス学科は、データの力で「食」の新たな可能性を切り拓く注目の学びの拠点です。2024年夏のオープンキャンパスなどを利用して、ぜひ足を運んでみてください。
大学入試はゴールではありません。新たな学びとの出会いの始まりです。そのためにも高校時代に幅広い基礎学力を身につけて、自分の可能性を広げる努力をしてください。
東洋大学の入試情報サイト「TOYO Web Style」では、現在500講座以上のWeb体験授業を視聴できます。新たにスタートする「総合知」教育を利用すれば、すべての学びにアクセスできます。それが総合大学である東洋大学の強みだと考えています。
東洋大学
加藤 建二 理事・入試部長
1987年、学校法人東洋大学入職。教務部、入試部、総務部などを経て、2013年から入試部長。14年から学校法人東洋大学理事。職員生活37年中24年が入試部勤務。入試情報サイト「TOYO Web Style」の仕掛け人でもある。
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