~高校教員の推薦書作成の負担軽減を目指す~
神奈川県大学入試広報連絡会(2024年度幹事校:神奈川工科大学、副幹事校:鎌倉女子大学)に加盟する13大学が、2025年度入試から学校推薦型選抜の推薦書に統一書式(全国大学推薦書標準様式)を導入することが発表されました。
高校教員の推薦書作成の負担軽減が目的で、同連絡会では今後さらに県内および全国の大学にこの書式の利用を広めていきたい考えです。
統一書式導入に至った背景や経緯を取材しました。
河村卓朗(SINRO!編集長)
学校推薦型選抜で用いる推薦書の統一書式導入のきっかけについて、「2023年度の連絡会で、複数の大学から『各大学の推薦書の書式がバラバラであることが高校の先生方の大きな負担になっている』という問題提起があったんです」と話してくれたのは、神奈川県大学入試広報連絡会に参加する産業能率大学で入試企画部長を務める林巧樹さん。
同連絡会では推薦書の統一化を重要なテーマと位置づけ、有志によるワーキングチームを発足させました。
早速、加盟校の推薦書を持ちよって検証したところ、大学によって書式、内容、分量などが見事に異なっていることを改めて認識したといいます。
「A4用紙にびっしり記入しなければならない大学もあれば、提示された項目にチェックをつけるだけという簡易な大学もありました」と林さんは振り返ります。
その後、関東・甲信越地区の高校にアンケートを実施したり、学校長などにヒアリングを行ったりして集めた現場の声をもとに、ワーキングチームが推薦書の基本フォーマットを作成。神奈川県教育委員会や神奈川県立学校長会議進路指導研究会、神奈川県私立中学高等学校協会などから好意的な反応を得られたことを受け、統一書式の導入を決定しました。
そして2024年5月、2023年度幹事校の神奈川大学によるプレスリリースに至りました。
統一書式は、文部科学省が重要事項と位置づける〝学力の三要素〞を踏まえた推薦理由等を10行、400〜450文字で記載するシンプルなものです。テーマと文字数が統一されるため、どの生徒の推薦書も同じ観点で作成できるようになり、先生方が頭を悩ませる場面も減らせそうです。
また、大学によってはWordでの入力も可能(各校の入試要項を要確認)。作成時間短縮や記載ミス低減につながるでしょう。
なお、統一書式は学校推薦型選抜の指定校制だけでなく、公募制やそのほかの選抜の推薦書としても利用できます。
「近年は総合型選抜や学校推薦型選抜を志願する受験生が増加傾向で、高校3年生の担任の先生方の推薦書作成業務が増えています。推薦書の書式の統一、さらには手書きからデータ入力への移行を推進し、先生方の負担軽減に貢献したいですね」とワーキングチームは強い意欲をみせます。
同連絡会が高校を対象に実施したヒアリングでは、
といった意見が寄せられました。
また先日、私が神奈川県内の公立高校で3年生の担任の先生方を対象に入試講演を行った際、本件に触れたところ、多くの先生は既にこの動きをご存じでした。歓迎ムード一色で、
といった声が聞かれました。
2025年度入試では、同連絡会に加盟する30校のうち13校が統一書式を導入します。
今後、県内のより多くの大学に導入を拡大し、将来的には全国の大学に広げていきたい考えです。
「この取り組みは、長時間労働が常態化している高校の先生方の負担軽減を目指すものです。私たちの考えに賛同し、統一書式の導入を希望される大学があれば、県内外を問わず当連絡会にご一報ください。導入校が増えればそのぶん先生方の負担を減らせるので、できるだけ多くの大学にご検討いただきたいと思っています」と林さんは力強く語ってくれました。
2024年度幹事校
神奈川工科大学 入試課
TEL 046-291-3000