受験で実力を120%発揮できるようにするには、集中力や体調などコンディションをしっかりと整えることも重要です。
今回は、受験生専門外来で数多くの受験生を指導してきた経験のある医学博士・吉田たかよし先生にお話を伺いました。
「1時間集中」して英単語を覚えるのと、「1分間のスキマ時間×60回」で英単語を覚えるのは、どちらが効率がいいと思いますか?
これは、後者が正解。長時間かけて記憶をしようとしても、脳の情報処理が渋滞していき最終的に忘れてしまうもの。スキマ時間を使って少しずつ行うほうが、長期記憶に向いているのが人間の脳の仕組みなんです。
自習室で集中して勉強していても、なかなか頭に入ってこないという経験もあるのではないでしょうか?
そんなときにオススメなのが、5〜15分に1回は立ち上がることです。少しでも立ち上がることで脳が覚醒されて、記憶力も上がりやすくなるそうです。自習室でも机の周りを10歩ほど歩くだけでもOKです。
夜寝る直前に1日の総復習を行う習慣をつけましょう。場所はベッドで横になりながらでOKです。ベッドの横には、参考書やノートを投げ込める箱を用意します。眠くなったらすぐにその箱に勉強道具を入れて寝てしまってください。
眠るのも大事な受験対策です。眠くなったら粘らずに寝ることで、就寝中の記憶力を最大限に活用できます。
身体と脳は表裏一体にあるので、カラダの調子が悪くて脳が働くことはありえません。特に、消化器官の調子が悪いのに脳が働くことは医学的にありえないそうです。
したがって、普段から消化器官を中心に身体の調子を整えましょう! 重要なのは、入試直前〜終わるまで。特に胃腸の状態をよくして免疫状態を上げていきましょう。
今日から実践してほしい食習慣は、「ヨーグルト」を朝晩2回食べること。朝だけでなく、夕食後や夜食として食べると、腸のゴールデンタイム( 午後10時から午前2時までの時間)に腸へ生きた乳酸菌を送り込むことができ、効果的です。
乳酸菌を運ぶ善玉菌が増え、腸内環境が整うと脳にもよい影響があり、不満や不安でイライラすることを抑えて、思考力と記憶力を維持してくれることにもつながります。
1日2食のヨーグルトで腸内善玉菌を増やせ!
乳酸菌にはさまざまな種類があり、人間の腸にたどり着くと、それぞれ固有の作用で腸内細菌に働きかけます。例えば、免疫力の要であるNK細胞(ウィルスと戦ってくれる細胞)を活性化するものの1つに「R-1乳酸菌」という乳酸菌があります。この乳酸菌が入ったヨーグルト等で体調管理をするのは手軽でおすすめです。
上述のR-1乳酸菌によって免疫力が高まれば、風邪やインフルエンザ予防にも◎。ストレスによって免疫力が低下すると風邪や微熱に悩まされやすくなります。これを放置すると集中力や思考力も低下する悪循環が起こります。
ヨーグルトを取り入れた食生活を味方につけて、自分のパフォーマンスを最大限発揮できるカラダをつくりましょう!
最低でも7時間半は睡眠を取ることが鉄則です。特に試験の直前期は、起きる時間から逆算して寝る時間を決めましょう。起きてから3時間で脳が活動するので、例えば、試験が朝9時なら6時に起きる必要があるので、夜10時30分には寝る必要があります。
最後は自分を信じることも大切です。思考力は、脳内でリンクしていて不安や不満の感情に襲われると、受験の際に大切な左側の前頭前野が働かなくなります。ここを刺激することで記憶力も上がるため、不満や不安の感情は断ち切りましょう。
吉田たかよし先生
<Profile>
灘中学校、灘高等学校、東京大学工学部(量子科学専攻)卒業。 東京大学大学院(分子細胞生物学専攻)修了。 東京大学新聞研究所修了(現・大学院情報学環)。 生命科学の研究に従事しながら国家公務員(1種)経済職試験に2年連続で合格して話題になるも、公務員にはならずNHKアナウンサーとして活躍。 その後、北里大学医学部を経て東京大学大学院医学博士課程修了。現在、医師として受験生の脳機能や体調管理を専門に扱う心療内科、本郷赤門前クリニック院長を務める一方、学習カウンセリング協会代表として、受験生の脳機能やメンタル面の状態に適した勉強方法の指導に従事している。