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【2024年度】大学入学共通テスト対策

現行課程最後となる、4年目の傾向を分析する

  • 大学・短期大学進学 2023年 12月13日

来年度に新学習指導要領への対応を控え、過渡期にある大学入学共通テスト。

現行課程最後となる2024年度、出題傾向に変化はあるのだろうか?

共通テスト直後に毎年、主要教科別の問題分析レポートを発信している弊社進路総合研究所の新沼所長が、今年度共通テストの主要教科ごとのポイントについて、昨年度、一昨年度の分析等を踏まえて予測・解説する。

新沼正太(進路企画 進路総合研究所所長)

総論 現行課程最後となる来春の共通テストに大きな変化はない?

 一昨年度の〝数学ショック〞のイメージが未だに後を引いているが、過去3年間の共通テスト英語・国語・数学の3科合計の平均点とその前の6年間のセンター試験平均点を比較すると、その差は9.32点(センター試験の方が高い)で主要3科(600点満点)が6%アップしたに過ぎない。

 既卒生も多く受験していたセンター試験と現役生主体の共通テストを比較するうえで、〝難易度が高くなった〞という認識は実情と多少ズレていると感じる(形式変化に対応できるか否かの問題である)。また、その中で共通テスト自体の難易度は安定していると言えるだろう。

 次年度に新学習指導要領への対応という大きな変更が待っている中で、今年度の大幅な難易度の変化は考えにくい。過去の出題形式や難易度が参考になる、ある意味方針が立てやすい共通テストとなるだろう。

 

英語について

 3年間の平均点は6割前後で推移している。出題の形式も英語を使って様々なシチュエーションに対応するという趣旨は変わりないので、過去問を使用した対策が有効だと言えるだろう。読解中心の出題であることは変わらないと思われる。

 高等学校で話を聞くと、英検など英語民間検定試験の対策を行っている生徒の成績が高い傾向があるようだ。検定試験対策を重視して勉強しているなら、私立大学を志願しているとしても積極的に高得点を狙いに行ってほしい。

 

数学について

 受験ではどの教科においても読解力が求められる。数学でも、国語的要素を含む出題は引き続き継続すると予測できる。文章を読んで事象を把握し、それを数式に落とし込んでいく作業が攻略のポイントになる。公式暗記から脱却し、具体から抽象への流れを作ることを意識してほしい。

 難易度が高いと認識されている教科だが、難易度の正体がどこにあるのかを知ることが重要である。計算が複雑なのではなく、計算に至るプロセスが困難で、式を立てる際に思考力、判断力等を必要とするのだと認識し、対策を打ってもらえればと思う。昨年度は適正な平均点に近づいてきていることから、難易度は前年並みになると推測される。

 

国語について

 現代文、古典ともに初年度から定石通りの出題となっている。来年度、時間や配点を含め大きな変化が待っていることからも、今年度は大きな変化はないと考えるべきだろう。

 現代文では評論文と小説、古典では古文と漢文という大問4題の出題で、各設問ともに複数の資料を提示して答えさせる形式は踏襲されると考えられる。過去問対策が有効と言えるだろう。複数の資料へのアプローチが難しいと感じる受験生は、それらの資料の「共通点」と「異なる点」を意識しながら設問に向き合ってほしい。

 「精読」と「比較」が攻略のポイントだと思われるので、このような設問形式の演習を繰り返すことで得点力を向上させるとよいだろう。また、来年度以降、独立して実用文を出題する流れから、今年度は実用文の出題はないと考えてよいだろう。

 

理科について

 出題形式に大きな変化があることは想定しにくい。昨年度、得点調整が行われた主要因は生物及び物理と化学の得点差であり、今年度は化学が易化すると予想される。生物に関しては2年連続で平均点が下降しているため、平均点が高かった第1回共通テストと同じような取り組みやすい出題とし、得点調整を避ける方向に動くことが予測される。

 化学は、具体例をより分かりやすい事例とするレベルの易化にとどまるだろう。文章や図が多い出題傾向は変わらないと予想されるため、主要な現象を表すデータや資料集などを確認しておくとよいだろう。こちらも過去問対策は有効である。

 

地歴公民について

 来年度、新学習指導要領による大幅な対応変化が発生するため、今年度の大きな変更は考えにくい。センター試験からの変化で、未知の史料やグラフデータなどの出題が多くなっている部分は引き続き踏襲されるだろう。暗記学習では対応できない設問が多いと認識し、日頃から資料を確認する習慣をつけておきたい。

 また、来年度から始まる「公共」の特徴となるであろう、資料読み取り型の問題や比較させる問題などを織り交ぜ、受験生の対応を試すような出題も考えられるので注意したい。(実はすでにそのような問題が多くなっているのだが。)

 

来年から学習内容が変わる教科は出題傾向が変わる可能性も?

 今年度は「変化前に変化しない」が基本的な考え方になるだろう。昨年度の共通テストで問題になった部分の修正を中心に、適正な平均点になるよう動いてくると思われる。その中で、来年度大きな変化が想定される教科においては、その変化を見据えたお試し的な出題があるかもしれないので注意しておきたい。そのような出題があったとしても、他の受験生も同じ条件なので落ち着いて取り組んでほしい。

 また、共通テストの本旨である「学力の3要素」を測定することを目的に、文章の長文化、資料やデータから読み取る能力、日常生活における具体的な事例から解答に至るプロセスを重視する傾向は続くだろう。暗記偏重型からの脱却をめざす出題は、新学習指導要領にともなう変化においても変わらないテーマであり、引き続き物事の本質を理解することに主眼をおいて対策に取り組んでほしい。

 

弊社による前回の大学入学共通テスト解答速報はコチラ▼
https://shinrokikaku.co.jp/articles/20230113_01

 

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