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【小山学園】“目標”と“評価”を繰り返し、学習成果を生み出す「コヤマ式教育システム」の強みとは?

業界で活躍するプロを育て上げる小山学園の教育システムに迫る

  • 専門学校進学就職 2023年 12月07日

東京都内に4つの専門学校を運営する学校法人小山学園は、全21学科を擁する総合学園として、多様な業界のプロフェッショナルを育成している。

企業からも厚い信頼を受ける同学園は「コヤマ式教育システム」という独自の仕組みで職業人を育て上げてきた。

この教育の実態について、東京工科自動車大学校の佐藤康夫校長と、東京テクニカルカレッジの白井雅哲校長に話を伺った。

聞き手・構成 河村卓朗(SINRO!編集長)

業界で活躍するプロを育成する
独自の教育システムを構築

―「コヤマ式教育システム」は、2000年にそのひな形が生まれたと伺いました。導入の背景についてお聞かせください。

佐藤 4つの専門学校を持つ小山学園は1969年の開校以降、「各業界のプロフェッショナルを育成すること」を最大のミッションに掲げて教育内容をブラッシュアップし続けてきました。新学科を除く全ての学科が職業実践専門課程の認定を受けており、54年の歴史のなかで4万名以上の職業人を各業界に輩出してきた実績があります。

 2〜4年の限られた就学期間のなかで、各業界で活躍するために、いかに専門分野の知識や技術を修得してもらえるか。これが私たちの教育にかかっていると思っています。

 そのうえで、2000年にコヤマ式教育システムが始まった経緯は複数あります。まずはバブル崩壊以降の経済情勢の悪化によって、企業が新入社員教育にコストをかけられなくなった状況がありました。そうすると「即戦力」という言葉が使われ出し、新卒でもある程度の経験やスキルを身につけた人材が求められるようになったんです。

 大学はそうした即戦力という意味の教育でいうと少し遠い面があります。だからこそ、専門学校としてはしっかりとプロ(技術者)を育成し、業界に送り込むシステムを確立しなければいけないという使命感がありました。

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専門学校 東京工科自動車大学校
中野校 世田谷校
佐藤 康夫 校長
 

白井 そうした流れで、学園全体で改めて教育システムを評価し直した時期がありました。具体的には、一人ひとりの教員の授業を何人かの教員が見学して、お互いに授業を評価し合ったんです。

 しかし、ここで大きな問題が発生した。この教員の話し方は面白い/面白くない、この教材はわかりやすい/わかりにくいといった「教員や教材の主観的な評価」はできても、「授業の内容を学生がどのくらい理解できたか」という「客観的な評価」ができなかったんです。

 教員の教え方のうまさではなく、それが実際にどれだけ学生に浸透しているかを評価する指標がなければ改善ができないのではないかと。それをきっかけに、授業に「目標」を設定する必要があると認識しました。目標があってこそ、その目標がいかに達成されたかを評価することができるんです。

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専門学校 東京テクニカルカレッジ
白井 雅哲 校長

「5期制」の細かいサイクルで
「わからない」を残さない!

―そうした課題が、コヤマ式教育システムに落とし込まれているのですね。

白井 そうです。2年後、4年後に業界で活躍するプロを育成するという大きな目標に向けて、1回1回の授業でも「目標」と「評価」を繰り返すシステムをつくったんです。それが「授業シート」と「授業カルテ」です。

 授業の始まりに配られる授業シートには10項目の目標が記されています。これを見ることで、授業のキーポイントを意識して集中力を高めてもらう。そして最後に授業カルテという10個の設問が記載されたテストを解くことで、理解度をチェックします。

 授業カルテで取りこぼした部分があれば、「コマ補習」で学生が自主的に、時には教員が中心になってフォローする仕組みです。

 これは学生の理解度の評価でありながら、実は教員の授業評価にもなっているんです。もし授業カルテによって多くの学生の理解度が低いとわかれば、それは教員の教え方や教材、時間配分などに問題があったとわかります。

 こうした指標があるからこそ、教員も授業の質を高めていくことができるんです。

佐藤 カリキュラムの内容や教えているツール、最新技術などは関係の深い企業からも意見をもらい、授業評価と併せて日々、授業の内容をアップデートできていますね。

 一般的な前期・後期の長い学期制だと、学習のつまずきに気づかず手遅れになってしまう可能性があります。小山学園の「5期制」では、短いスパンで目標と評価を繰り返しながらつまずきを見つけ、わからないを残さないという考え方で進めていきます。

 我々の教育システムによって、なかには中学・高校時代に見過ごしていた「ニガテ」が発覚するような場面もあるんです。

 次のステップに進むためにはその弱点を克服する必要があるので、もちろん私たちはじっくりフォローを行う。その際に、例えば三角関数が測量に役立つなど、なぜその知識が必要なのかを具体的に伝えられるのは学生にとっても学ぶモチベーションになると思いますね。

白井 卒業生からは、この短いスパンで学習を振り返ることができてよかったと聞くことが多いです。

 考えてみれば半年分の学習内容を一気に振り返るのは大変ですし、高校までも中間テストと期末テストを年間に5回繰り返してきた人が多いわけですよね。「わからないを残さない」ことが何よりも大事であり、この目標と評価の繰り返しで学習習慣が身につき、専門知識・技術が着実に身についていくわけです。

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コヤマ式教育システム説明動画はこちら
システムについてのインタビュー動画はこちら

 

企業連携と実践教育で
「わかる」を「できる」に

―小山学園は企業連携などの実践的な授業も多いと思いますが、その狙いを教えてください。

佐藤 当学園は業界や企業とのつながりが深く、110社以上の後援会企業で構成されています。企業とともに、将来、業界の最前線で活躍する即戦力人材を育てているような面もあり、企業が小山学園の授業に関わったり、アドバイスしたりしていただける機会もとても多いですね。

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業界との強いつながりを持ち、企業連携や後援会の就職バックアップも根強い。

 

佐藤 専門学校の2年間や4年間ではどうしても基礎的な知識や技術を教えることが中心となりますが、そのなかでも実践的な授業に挑戦できるのはこの環境ならではだと思います。

白井 先ほど説明したコヤマ式教育システムはスキルや学習習慣を定着させる「インプット」に特化したものです。

 一方で、企業に就職して仕事をするということは「アウトプット」の連続だと思うんです。だからこそ、「わかる」だけではなく「できる」人を育てなければいけない。そのためには、身につけた知識やスキルを実際に使ってみる時間を持つことが重要です。

 東京テクニカルカレッジには、「リアルジョブプロジェクト(RJP)」という課題解決型、すなわちアウトプットの授業があり、企業との連携も積極的に行いながら学びを体験に落とし込んでいます。

 例えば、RJPでは過去に、学科の枠を超えて学内にカフェをつくるプロジェクトを実施しました。建築科の学生が店舗空間を設計し、インテリア科の学生が家具をつくり、バイオテクノロジー科の学生が企業とコラボしてオリジナルブレンドのコーヒーをつくるなど、学科ごとの知が集積した企画です。

 実際の仕事もこうしたさまざまな分野の協働で成り立っていることを知り、他科の学生や同級生とコミュニケーションをとりながら課題解決に取り組んでいきます。仲間と一緒に実践するなかで「私たちはここまでできるんだ」という自信を深めてもらえればと思っています。

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企業連携で実践力を磨く「リアルジョブプロジェクト(RJP)」

 

佐藤 一方の東京工科自動車大学校には「プロジェクトセミナー」という授業があります。

 複数のメンバーで目標達成に向けて活動を行うプロジェクトで、その課題は、例えば企業のレーシングチームに加わってレース経験を積んだり、電気自動車をつくったり、故障した車のレストアに挑戦したりと実に多様。

 プロジェクトのなかでは予算やスケジュールを管理し、その成果をレポートやプレゼンテーションで報告するなど「実際の仕事の流れ」と同様な体験をすることができます。

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一つのテーマをとことん追求する「プロジェクトセミナー」

 

白井 社会に出て働くためには納期や予算といったものを意識する社会的な「マインド」が不可欠で、スキルだけでない学びを得ることができるのがRJPやプロジェクトセミナーの魅力だと思います。

 

―そうしたインプットとアウトプットの両立した学びが、企業からも評価されるポイントなのでしょうか。

佐藤 ありがたいことに企業からの求人は多く、各学生の希望に沿った幅広い就職先を示すことができていると思います。

 

業界に精通した担任が、
学生の個性を考えて
きめ細かに進路をサポート

小山学園では「担任制」を取り入れている。
各専門分野・業界に精通した担任の先生が就職活動でもそれぞれの学生の個性を見ながら丁寧な就職指導を行うため、学生は安心して社会人としての第一歩を踏み出すことができる。

 

白井 最初の話に戻りますが、私たちの使命は社会で活躍する人材を育てるというところにあります。世の中では進学が過度に重要視される場面が多く、いい大学に合格することがゴールだという風潮もある。

 しかし、いい大学に行ったからといって自分らしい場所で輝けるかどうかはわからないですよね。やはりゴールは自分に合った仕事を見つけてもらうところにある。だから私たちは、将来につなげるための確かな学びを提供していきたいと思っています。

佐藤 私は大学に進学するのもいい選択だとは思うんです。ただ、それが最終学歴になってしまうと社会への接続が当学園のようにはうまくいかないケースも出てくる。

 だから今後、大学に行って興味を広げてから専門学校に進学するような文化が広まってもいいんじゃないかと思っています。小山学園は、自らの「夢」と「社会」とを接続する学びを提供しています。そのために、当学園ならではの教育システムや学びに対し、私たちも日々、向き合っています。

 

お話を伺った方

専門学校 東京工科自動車大学校
中野校 世田谷校
佐藤 康夫 校長

専門学校 東京テクニカルカレッジ
白井 雅哲 校長

 

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