ツーリズム領域の広がりを受け 2024年度より「JTBツーリズムビジネスカレッジ」へと校名を変更
JTBトラベル&ホテルカレッジは、ツーリズム領域の広がりと変化するビジネスシーンを見据え、2024年度より「JTBツーリズムビジネスカレッジ」へと校名を変更する。
コロナ禍という大きな脅威を乗り越え、復活の兆しを見せるツーリズム産業。新たな時代において求められるスキルと、その育成に向けた独自の取り組みについて、坂本友理校長に詳しくお話をうかがった。
聞き手・構成 河村卓朗(SINRO!編集長)
私たちが携わるツーリズム産業の基本的な仕事は、お客さまの旅をサポートすることです。しかし、コロナ禍においては外出制限が課され、本来の役割が果たせなくなってしまいました。
一方で、この期間がビジネスモデルを再考するきっかけにもなったと考えています。
そのひとつが効率経営です。維持費がかかる実店舗からコールセンターやWEBでのサービス提供へと移行を進めました。
また、旅行業で培ったホスピタリティの高さを活かしてワクチン接種会場の運営に協力するなど、行政と連携した活動にも多くの旅行会社が参画しました。東京オリンピック・パラリンピックでは世界中から関係者が集まるということで、空港から会場間の移動をはじめとするサポートを実施。ツーリズム産業の強みを改めて実感しました。
2023年に入ってからは水際対策が緩和され、インバウンドを含めた旅行の需要が回復の兆しを見せています。
そうした動向から今後の人手不足を予測し、旅行業・宿泊業の求人も増加傾向にあります。
現代は人々が互いの多様性を認め合う共生社会です。高齢者や障害を持つ方々にも快適な旅をしていただくための、介助の知識やスキルが必須となります。
そこで、本校では日本ケアフィット共育機構や日本国際観光学会とともに「旅のユニバーサルデザインアドバイザー(UDA)」という民間資格を発案し、国際観光ビジネス科1年次の必修科目として導入しています。
これは、高齢者・障害のある方のサポートや、交通・宿泊サービスにおけるユニバーサルデザインを学ぶものです。実技試験では、実際に車いすや手話を体験し、本当の意味で「お客さまに寄り添う」ためのスキルを学んでもらっています。
こうした学びを通じ、学生には将来の活躍の幅を広げてもらいたいと考えています。
本校は創立以来、時代のニーズに応じて校名を何度か変更してきました。
近年は観光・ホテル実務のみならず、ビジネススキルを磨くことにも注力し、卒業後の進路もホテルや旅館、レストラン、空港、運輸など、ツーリズム産業のあらゆる領域へと広がりを見せています。
これからの実社会では、お客さまに寄り添って考える人間力と、デジタル技術などを活用するための新たなスキルを兼ね備えなくてはなりません。そうしたビジネスシーンの変化に対応するため、今回の校名に変更することを決めました。
国際観光ビジネス科には、ツーリズムについて総合的に学ぶ「観光総合コース」と、高まるインバウンド需要に応えて2020年度より新設した「グローバル・インバウンドコース」の2コースがあります。
グローバル・インバウンドコースの設立に際して重視したのは、日本文化を教えるということ。
海外からのお客さまを案内するためには、語学力に加えて日本の歴史や地理を伝えるための力を身につけておく必要があります。そうした力を育むため、日本を代表する観光地・京都について学ぶ「日本文化(京都を学ぶ)」や、東京シティガイド検定の取得を目指して日本の首都・東京の文化や歴史を学ぶ「江戸東京見聞録」といったカリキュラムを設置しています。
また、これは国際観光ビジネス科全体に言えることですが、国家資格である「旅行業務取扱管理者」の資格について、1年次に「国内」と「総合」のダブル受験を必須としています。取得した資格は就職活動において強みになるだけでなく、必死で勉強を続けてきたことの証として自信にもつながるはずです。
もうひとつの学科である国際ホテル&ブライダル科の魅力は、ホテルでの実務経験を持つ教員が多数在籍しているところです。テキストに書かれた内容を、実際の現場に即した形で学ぶことができます。
海外プログラムについては両学科ともコロナ禍でストップしていましたが、1年生を対象とした選抜制のJTB海外支店などで実習ができる「海外派遣制度」や2年生が全員参加する「海外研修旅行」を本年度より再開する予定です。
JTBグループとのつながりは引き続き強く、求人も増加しています。また、ツーリズム人材が必要な職域は広がり、宿泊や運輸をはじめとする他業種も堅調に推移しています。
本校は両学科とも国家資格・検定取得の割合が非常に高く、その点も各業界の企業から評価されています。
JTBツーリズムビジネスカレッジで過ごす2年間には、資格取得や学校行事など、たくさんのチャレンジが待っています。
ツーリズム領域での活躍を目指す受験生の皆さんには、ぜひ本校で多様なホスピタリティ精神を学び、お客さまに寄り添える人材へと成長していただければと思います。
JTBトラベル&ホテルカレッジ
坂本 友理 校長
1987年に日本交通公社(現JTB)に入社し、ダイバーシティ推進首都圏執行役員兼販売・CS推進担当など数々の要職を務める。
2016年、JTBトラベル&ホテルカレッジ教務部長を経て、22年4月より同校初となる女性校長に就任。
⇒『進路の広場』でJTBツーリズムビジネスカレッジ(2024年4月JTBトラベル&ホテルカレッジより校名変更)を見る