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【東京農業大学】徹底的な「現場体験」を通して食や農業を取り巻く課題を解決する

経済学や国際開発の視点から食と農業に携わる東京農業大学国際食料情報学部

  • 大学・短期大学進学 2023年 08月02日

開発途上国における食料の生産量不足や、国内における農業就業人口の減少、耕作放棄地の増加、食品ロスの問題など、食や農業を取り巻く課題が山積している現在。

東京農業大学国際食料情報学部は、経済学や国際開発の領域から、複雑化する課題の解決に必要な資質を育てている。

高柳長直学部長に、「現場体験」を主軸とした教育の特色について聞いた。

聞き手・構成 河村卓朗(SINRO!編集長)

国際・経済・経営の学びで
商品開発や国際貢献に挑む

―東京農業大学国際食料情報学部の4学科の学びの内容についてお聞かせください。

 国際食料情報学部は、農業や食にまつわる現場体験を重視した学部です。

 農場や農家での農業実習や海外での実習・研修をはじめ、福島の復興支援や地方の山村再生、コンビニスイーツの商品開発といった実践的なプロジェクトを通じて、現場レベルでの問題解決に取り組みます。

 地球規模の問題に対処するために、自然科学系の科目だけでなく経済学や経営学を中心とした社会科学系の科目を学ぶのが本学部の特徴です。文系出身でもアプローチしやすく、多様な学問や価値観を学ぶことで、固定観念にとらわれない新たな発想力を養います。

 4学科のなかで、食料環境経済学科とアグリビジネス学科は、それぞれ「経済」と「経営」の観点から食と農業を取り巻く課題の解決力を身につけます。文系の側面が強い学科ですが、最近はデータやテクノロジーを用いた消費者行動の探究など、文理融合の社会実験的な研究も増えています。

 食料環境経済学科は、農業の経済的発展と食を通じたよりよい社会の実現を目指す学科。アグリビジネス学科は、農業および関連産業(食品産業など)における企業ビジネスの可能性を切り拓く学科です。

 前者は生産から流通・消費、経済政策といった農業や食を支える社会の仕組みを総合的に学ぶのに対し、後者は経営組織や経営戦略などよりミクロな領域を取り扱い、経営者の視点に立って農業と食に関するビジネス全般を学びます。

 一方の国際農業開発学科と国際食農科学科は、自然科学と社会科学の両軸で学びを展開しているのが特徴です。

 持続可能な社会のための農業生産技術や食品化学など自然科学の領域と、異文化理解や多様な人々と協働するコミュニケーション力といった社会科学の領域をバランスよく学ぶことで、生産とビジネスの知識を持って社会の課題に柔軟に対応することができる人材を育成します。

 特に、国際農業開発学科は開発途上国における農業開発を推進するための教育・研究を行う学科で、卒業後はNGO(非政府組織)などの国際協力機関や青年海外協力隊として活躍する人が多数おります。

 他方、国際食農科学科は食品の生産から加工、流通、販売、消費、その背景にある文化まで食と農業に関する一連のプロセスを学ぶ学科で、地域から世界に向けた食と農の分野における新たな発展に貢献できる人材を育成します。

 

国際食料情報学部の特色ある4学科
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4学科ともに農業実習を実施現場体験を通して社会課題の解決に挑戦!

 

―農業実習などの現場体験では、どのような学びを得ることができるのでしょうか。

 農業を営むことの大変さや業界が抱える課題は、実際に経験してみないとわからない部分が多くあります。だからこそ、国際食料情報学部では現場での実習やフィールドワークを重視しているのです。

 4学科ともに、研修地の農家に1週間程度宿泊し、農家の方々と農作業や生活を共にするプログラムがあります。これはいわゆる農業体験のような娯楽的なものではなく、自分たちが関わった作物が売り物になることを見据えた責任感を伴った実習です。

 ここで学生たちは、生産技術やマーケティング、出荷方法、経営のあり方などを身をもって学びます。例えば、商品開発の場面では消費者を引き寄せるストーリー性が重要視されますが、そこでは実習で汗水垂らしながら経験したことがアイデアの源になるはずです。

 実習や研修は国内だけでなく海外でも実施しています。海外の農業や食品産業を観察してグローバルな実態に触れることで、国内の課題に対する新しい可能性を見い出すことも期待されます。実習の枠を越えて自ら課題を発見し、プロジェクトとして進める学生が多いのも特徴です。

 

山村再生プロジェクト

食料環境経済学科独自の教育プログラムである「山村再生プロジェクト」は2008年にスタート。
学生の自主的な参加・活動によって運営され、町行政や地域住民との協働で展開している。

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対象フィールドは長野県小県郡長和町。
学生は毎週の勉強会に加え、毎月1回、2泊3日の実習を実施している。

 

年内入試では事前課題において
学科の学びとの適性をチェック

―入試ではどのような点を重視していますか。

 最も重要なことは、「食」(食品・食料)や「農」(農業・農村)、環境問題などに興味を持てるかどうかです。東京農業大学に進学したいと少しでも興味を持った生徒の皆さんは、ぜひ学部や学科の学びについて自ら探求してほしいです。

 東京農業大学では、キャリアデザイン総合型選抜や一般学校推薦型選抜にて事前課題を課しています。各学科の学習内容に沿った課題であるため、その課題に興味を持てるかどうか判断し、オープンキャンパスなど、学びを体感するイベントに足を運ぶなど、本学で学びたいという強い熱意で臨んでください。

 

―卒業後の就職先について、貴校の強みがあればお聞かせください。

 農業・食品業界の川上(農業資材、農業法人)、川中(食品メーカー、食品商社、卸売市場)、川下(スーパー、食品小売)および農業団体に就職する学生が約6割を占めます。その他にも、金融・保険、公務員、教員、情報、運輸、卸売業など、幅広い業界で学びを活かして活躍しています。

 

―最後に東京農業大学国際食料情報学部を目指す受験生やその保護者にメッセージをお願いします。

 本学は教員と学生との距離が近く、教員とともに最先端の研究に取り組めるのが魅力のひとつです。学生同士の交流も活発で、同じ志を持つ仲間とプロジェクトに取り組むことができます。充実した学生生活を送りたい方にぜひ受験してほしいです。

 

お話を伺った方
東京農業大学 国際食料情報学部 学部長
高柳 長直 教授

 

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