横浜の中心地「関内」で始まる企業・自治体・市民に開かれた学びとは?
「社会連携教育」を掲げ、SDGsを意識しながら企業や自治体と連携する新たな学びを展開する関東学院大学。
2023年開校予定の「横浜・関内キャンパス」で始まる新たなチャレンジにも注目が集まる。
変化が加速するアフターコロナの時代に向け、どのような人材を育成していくのか。
今回は、副学長の江頭幸代教授(経営学部)、村上裕教授(法学部)に新キャンパスへ移転する法学部、経営学部の学びを中心に、関東学院大学全体のビジョンを詳しく伺った。
聞き手・構成 河村卓朗(SINRO!編集長)
江頭 AIやICTの加速度的な進化、気候変動、新型コロナウイルス感染症、さらにロシアによるウクライナ侵攻など、めまぐるしく変化する世界情勢のなか、解決すべき社会課題は山積しています。一方、国内にも少子高齢化、人口減少に起因するさまざまな課題があります。
この予測不可能な時代を生き抜くためには、一企業・一個人の力では解決が難しい大きな課題に周囲と協働しながら立ち向かう力が求められます。
村上 そのため関東学院大学では、企業や自治体、地域社会とのネットワークを活かした「社会連携教育」に力を入れています。
これは、教室の中で学ぶ「理論」と実社会をフィールドとした「実践」の往復による教育モデルです。
江頭 象徴的な取り組みのひとつが、経営学部の教育プラットフォーム「K-biz」です。三菱UFJ銀行、京浜急行電鉄、日テレAX‒ONなど、全11社にサポーター企業となっていただき、各企業が提示する経営課題と向き合うプロジェクト型学習を行っています。
村上 私が所属する法学部では、全13の自治体の首長や職員が1科目ずつ担当し、ユニークな授業を展開する「地域創生特論」が特徴的だと思います。ほかにも3年次に全学生が中長期インターンシップや空き家再生プロジェクトなどに取り組む人間共生学部のプロジェクト型学習にも注目が集まっています。
江頭 解決すべき社会課題は、教室の中にはありません。まずは社会に出て、課題と向き合い、それを教室に持ち帰って理解し、知識を身につけて、また社会に出て行く——。その繰り返しによって、学生が成長していくのです。
村上 「SDGs未来都市」横浜の玄関口であるJR関内駅前に誕生する横浜・関内キャンパスは、「社会連携教育」の新しいプラットフォームになるでしょう。
地上17階、地下2階の都市型高層キャンパスには、法学部、経営学部、人間共生学部コミュニケーション学科が移転します。
建物内は、学部ごとにフロアを分けず、分野横断的交流を促進します。学部・学科の壁を超えて、教員や学生が自然にコミュニケーションできる環境になっています。
江頭 新キャンパスは、社会に向けて開放されているのも特徴です。地下1階とエントランスフロアにはブックカフェなどの商業施設、2階には654名収容のホールとギャラリー、4階にはコワーキングオフィスを設置して市民に開放します。
すでに神奈川県内の多くの教育機関からも問い合わせをいただいています。キャンパスの一部を開放することで、学生の教育成果のアウトプットや情報発信の拠点としての役割も担っていくことになるでしょう。
村上 移転する3学部4学科だけでなく、関東学院大学に通う全学生が利用できる新たな学びの拠点にしたいという思いもあります。関内は官公庁施設や企業が集まる横浜の中心地です。また近隣には、山下公園や大通り公園、元町、中華街、伊勢佐木町など、学生が課題を見つけられるスポットも豊富にあります。
「社会連携教育」は、実践の舞台として機能するだけでなく、異なる価値観や視点を持つ人々と直接触れ合い、自分自身に足りない知識やスキルへの「気づき」を得る機会にもなります。この恵まれた立地を大いに活用していきたいですね。
江頭 例えば、私は「管理会計」のゼミを担当しています。ここで学生たちに、税理士や会計士は、財務諸表の数値だけではなく、その向こうにある企業経営の全体像や結果を分析する力が必要だと伝えています。
これまでの簿記学習のような検定が目的ではなく、実際の企業と触れ合うことで「何が必要か、何を学ばなければならないか」を知って始めて会計の重要性や楽しさがわかると思います。つまり、社会で活躍するための自分の強みとして、会計学の知識を活用できるようになるのです。
村上 法学部の学生が公務員を目指す際も同様です。「社会連携教育」によって、行政の仕事を直接知ることで、資格取得自体が目的ではなくなる。公務員として社会に貢献するために、自分は何を学ぶべきか明確になるのです。
そのため法学部では、自治体のインターンシップ先を紹介するなど、公務員志望者に向けた独自のサポートも行っています。
江頭 社会に出て、さまざまな機会に触れる本学の学びは、決して簡単なものではありません。いわゆる「受け身」の姿勢では対応できないでしょう。
そのため、高校時代から自主的に「半歩前」に出て、何かにチャレンジをする経験をしてきてほしい。それが、「社会連携教育」の現場で大きな力になるでしょう。
村上 横浜・関内エリアは、これから再開発によって大きく変わっていきます。新入生の皆さんには、進化する街とともに学び、成長する興奮を味わってほしいと思います。
関東学院大学
副学長(産官学連携・関内キャンパス担当)
村上 裕 教授(法学部)
関東学院大学
副学長(教学担当)
教務部長 高等教育研究・開発センター長
教職支援センター長
江頭 幸代 教授(経営学部)
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