フェスティバル型入試からのゲームチェンジで向かう未来とは?
武蔵工業大学の伝統と研究力を受け継ぐ東京都市大学は、2023年4月に8学部18学科体制に進化する。
世田谷キャンパスのリニューアルが進み、横浜キャンパスには文理融合のデザイン・データ科学部が新設される。
ユニークな総合型選抜や新たな高大接続型探究イベント「オープンミッション」にも注目が集まる同学の2023年度入試について、菅沼直治 入試センター部長に詳しく伺った。
聞き手・構成 河村卓朗(SINRO!編集長)
「定員厳格化」によって各大学の入試にはトリクルダウン的な効果が生まれたり、追加合格の混乱があったりしました。総じて「定員厳格化バブル」とも言われるような状況でしたが、首都圏私大の志願者数は落ち着きつつあります。
これからは志願者を競う時代から入学者を確保する時代になるでしょう。
求められるのは、入試の「多様化」と「適正化」です。併願制度の拡充によって出願機会を拡大する動きもありますが、多様な入試スタイルを用意して、「ここで本気で学びたい」という熱意ある受験生に選ばれる大学になるべきだと考えます。
私はこの流れを「フェスティバル型入試からのゲームチェンジ」と捉えています。
以前の大学入試は、機会公平を基本とした共通の受験勉強のもとで、定型化された一般入試を受けるのが王道でした。
それが今や年内入試もマイナーではなくなり、受験生たちは実に多様な選抜方式を探すことができるようになりました。昨今の技術の進歩や社会の成熟に対応して、大学の学部・学科の種類が増えたことも入試の多様化の背景にあるかもしれません。
受験生にとっては、一般選抜に向けた受験勉強のみならず、大学・学部・学科研究や、多様化している入試制度の研究もますます重要になっていますし、大学側も入試を通じて「求める学生像」をより明確にする必要があります。特に総合型選抜は、大学からのメッセージを伝えやすく、受験生の高校時代の努力や、大学の学びへの総合的な力を適正に評価する選抜方法になると考えています。
そうですね。総合型選抜(1段階選抜制)では、学部の特色を出した入試が展開されています。
例えば、情報工学部で実施している「創作ソフトウェア入試」では、受験生が高校時代につくりあげたソフトウェアを評価の対象にしています。また、2023年4月に新設されるデザイン・データ科学部の「創造デザイン入試」では、提示した課題に対して、関連する情報やデータを収集し、自分なりに分析した視点によりレポートを作成し、その内容をべースに面接を行います。
いずれも志望する学部・学科研究の深さがキーになるので、受験生にとっても総合型選抜としての課題に挑むことは、入学後のミスマッチ回避につながります。
2段階選抜制は、自己アピール申請書に加え、各学部・学科が指定する適性検査を課す方式です。また、特技などを中心にした自己推薦的な出願に偏らず、探究活動による出願も積極的に受け入れます。
探究活動に関連して、今年から新たな取り組みとして、探究イベント「オープンミッション」を実施します。これは、6月から8月にかけて、学内で行う高大接続型イベントで、参加する高校生に探究課題を提示し、その後、キャンパス内で探究ワークの機会を提供。最終的に学生や教員の前で成果発表も行います。
総合型選抜の出願にも効果的ですから、ぜひ興味のある学科の課題に挑戦してみてください。
なお、「オープンミッション」には、2022年度から高校で本格導入された「探究」の授業をサポートする狙いもありますので、高校の先生方にも注目いただければと思います。
各学科の特性に合った「探究テーマ」から1テーマを選択。
webや対面でレクチャーを受けながらワークに取り組み、成果を発表する。
総合型選抜の提出資料として、修了証明書を利用可能!
「探究総合問題」と大学入学共通テストのスコアで評価する「一般選抜(前期理工系探究型)」を新設します。
「探究総合問題」とは、特定の教科・科目に限定されずに「思考力・判断力・表現力」を評価する総合的な記述式問題で、暗記力だけでは測れない科学的な興味・関心の熱量をアピールできます。新方式ということもあり、大学ホームページにサンプル問題を公開しています。
2022年春から等々力キャンパスにあった都市生活学部・人間科学部が世田谷キャンパスに移転してきました。これまで理工系学部で構成されていたキャンパスの女子比率が上がり、雰囲気も変わりました。
また、2023年4月に横浜キャンパスにデザイン・データ科学部が新設されます。ここでは、文理融合のイノベーティブな学びが展開されます。
ぜひオープンキャンパスで、それぞれのキャンパスの活気を体感してください。
2023年4月、文理融合を育む横浜キャンパスに、分析力×創造力で新たなイノベーションを起こす人材を養成する「デザイン・データ科学部」を開設予定。
今年の受験生は、コロナ禍でさまざまな活動制限があり、大変だったと思いますが、その条件はみんな一緒です。問われるのは、いかに楽をしない選択をしてきたかです。
今からでも準備は間に合います。ぜひ「オープンミッション」のような機会を利用したりしながら、自分が本当にやりたい学びの分野を見つけてください。
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