詰め込み型の知識より、社会貢献への本気度を評価する時代へ
旧AO入試の時代から総合型選抜に力を入れてきた産業能率大学。
年内合否の推薦入試にますます志願者が集まるなか、一般選抜と併願可能な総合型選抜の方式を新設するなど、先駆者として常に新たな入試スタイルを提示している。
次世代の社会課題を解決する人材を育成するために、産業能率大学の総合型選抜が担う役割とは? 林巧樹入試企画部長に話を伺った。
聞き手・構成 河村卓朗(SINRO!編集長)
一般的に言われている通り、首都圏私大の入試は、「定員厳格化」前に戻りつつあるのは確かです。前年度難関系大学の志願者が減少し、その影響で易化が進んだ結果、2022年度入試では強気の出願が多く、中堅大学の多くは一般選抜では志願者減少が継続しています。
おそらく2023年度入試の一般選抜(大学入学共通テスト利用含む)も同様な傾向が続くと予想しています。
その一方、コロナ禍の影響もまだまだ強く、感染リスクを回避したいという思いから、早く入試を終えたい、合格を得たいという動きも活発化。特にその傾向が強い保護者の意を汲んで学校推薦型選抜に流れた受験生も多かったと認識しています。
産業能率大学でも年内の総合型選抜を積極的に行っていますが、ここ数年、受験生の傾向が変わってきているのを感じます。
10年以上前は、AO入試を受けたい=楽に受験したいというニーズを持った受験生が少なからずいましたが、今は、提示された課題テーマ(社会課題など)に興味を抱き、真剣に向き合う受験生がほとんどです。結果、上位進学校と呼ばれる高校からの受験生も増えています。
総合型選抜の志願者が増える傾向は今後も続くでしょう。
背景には、日本の受験スタイルの変化もあると思うのです。昔は、詰め込み型の入試が、半ば肯定されていました。
しかし、昨今の入試改革を経て、今の受験生に求められるのは、知識に加え、思考力・判断力・表現力、さらに主体的な学びの姿勢であり、これらの力を評価する入試方式が、まさに総合型選抜なのです。
実際、本学の総合型選抜で課題や面接を経て、合格を勝ち取った入学者は、これらの準備に主体的に向き合うことで自己肯定感が上がります。そして、その状態で入学してくるので、大学でも主体的に学んでいくことができます。
近年の総合型選抜では、様々な社会課題に関心を持ち、その解決策を自ら考え、レポートやプレゼンテーションで発信する力が試されます。
入試の課題となる社会科学系のテーマもこの20年で大きく変わりました。20年前は、修学旅行のプラン、つまり「商品企画」を考えるような身近な課題が多かった。しかし今は、社会問題、例えば「教育格差」や「耕作放棄地、空家問題」などを経営学の視点からとらえ課題の解決策を考えさせるアプローチが一般的です。
時代に合わせて、社会が求める人材像は変わります。時代の一歩先は無理でも三分の一歩先を見据えて、受験してきてほしいですね。本学の学びの出発点は、総合型選抜の様々な方式の「課題」に繋がっています。
本学の総合型選抜は、従来から行っている「AO方式」に加え、「AL(アクティブラーニング)方式」、「キャリア教育接続方式」などがあります。いずれもオープンキャンパスなど学内イベントに参加しながら、大学の学びへの理解を深め、面接やプレゼンなどに臨む流れになります。
また、2023年度入試から経営学部マーケティング学科の総合型選抜に「MI(マーケティング・イニシアティブ)方式」が新設されます。
これは、社会課題に関するレポート作成を課す入試方式で、他大学の総合型選抜や一般選抜との併願も可能です。学費納入期限は、2023年2月22日となり、それまでに入学辞退を希望する場合は、入学金も返還されます。
この選抜方式の合格者は、同学科のプロジェクト学習「マーケティング・イニシアティブ」への主体的な参加が求められます。
この併願方式は、「社会課題を本気で解決したい」と考える一般選抜の受験生にも目を向けてほしいというメッセージでもあります。
また、「MI方式」と同じターゲット層に向けた一般選抜の方式もあります。それが全学部で行う「未来構想方式」です。「大学入学共通テスト5教科型(学費減免)」と「大学入学共通テスト3教科型」の2種類があり、いずれも共通テストのスコアと事前記述課題および未来構想レポートの提出が求められます。
詳しい入試情報は、Webサイトなどでご確認いただければと思います。
オンライン環境であっても高校生活はあったわけです。その状況でやってきたことを大学側もできる限り評価したいと思います。
クラスで動画を作成したり、オンラインイベントを開催したり……そんな日常的な活動のなかにもアピールできることはたくさんあると思います。
本学は、主体的に学びたいとする学生が多く集まっている大学です。
それは本学特有の総合型選抜を経験し自己肯定感が高まったことが要因となっています。その学生の姿をぜひオープンキャンパスで見てほしいと思います。
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