英語の達人(プロ)に聞く!
大学入試改革で重視されるようになった英語4技能。
2021年度の大学入学共通テストへの導入は延期されたが、ここ数年で多くの私立大学が独自試験に英語民間検定の4技能の成績を評価する「英語外部試験利用入試」を導入するなど、スピーキングやライティングも含めた英語教育の重要性が高まっている。
横浜市の英語受験専門塾で受験生を指導する、グローバル英語塾代表の大口喜弘氏に、大学入試における英語対策についてお話を伺った。
昨年導入された大学入学共通テストにおいて、英語民間検定の活用は延期されましたが、大手私立大学を中心に、従来の「読む」「聞く」だけではない、「書く」「話す」を含めた英語4技能の力を持つ受験生を評価すべく、数年前から「英語外部試験利用入試」が導入されています。
この入試では、受験生が規定の英語試験のスコアを持っていると、大学独自の英語科目が免除になったり、スコアに応じて得点化されるなど、プラスになります。高校在学中にぜひ受けておいて欲しいと思います。
「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能は、同時に習得できるかというとそうではありません。まず、書いてあることを読み、英語を聞いて理解できることが前提で、そのうえで初めて「書く」「話す」という段階に移行できます。そして、リーディング、リスニングのためには、語彙力、文法力が欠かせません。
このため、当塾では、「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能に加えその土台となる「語彙力」「文法力」の2技能をプラスした「英語6技能」を確実に身につけることに主眼を置き指導しています。
さきほどもお話ししましたが、私大入試において指定された英語民間検定のスコアを持っていると様々な恩恵が受けられますので受験生の皆さんにはぜひ挑戦してほしいと思います。
検定の種類は様々ですが、受検者の多い英検が最も身近ではないでしょうか。英語が苦手な方にとっては、「英検Ⓡ2級」というのはハードルが高いと感じるかもしれませんが、私のこれまでの指導経験上、特別な対策をしなくても勉強すれば2級は取得可能です。
というのも、英検2級というのは現地校では8歳レベルの学力なんですね。8歳といえば義務教育の入り口に立ったばかりで、これから様々なことを学習していく段階。つまり、これから進学して学びを深めていく高校生の皆さんが最低限有しておきたい知識が英検2級であるといえるのです。ちなみに準1級は現地校の12・3歳、中学1年レベルの学力です。
とはいえ、英語に苦手意識を持つ方も多いでしょう。おすすめの勉強法は、自分の興味のあること、好きなことから単語や熟語を覚える、という方法です。
例えば、音楽が好きなら洋楽を聞く、映画やドラマが好きなら洋画や海外ドラマを見る、といったように、「これなら興味を持って学べる」という教材を繰り返し聞くのです。ナショナルジオグラフィックのような海外のドキュメンタリー番組を日本語同時通訳で視聴する、というのもいいと思います。
最近では動画配信サービスやYouTube上でも様々なコンテンツが視聴できますので、楽しみながら勉強を進めてみてください。
また、日常のなかにも単語を覚えるチャンスは無数にあります。例えば、電車やバスに設置されている優先席は「priority seat」と英語で表記されています。車内で流れる英語のアナウンスに注目してみても、多くの気づきが得られるでしょう。
身の周りの様々なものに興味を持ち、「どうしてこのような言い回しをするんだろう」「こういう表現はできないだろうか」などと疑問を持って過ごしてみてください。
記憶というのは人の「感情」や「場所」を関連づけると定着しやすいと言われます。様々なフィールドで学べば、その場所の風景やそのときの感情を手がかりに記憶を思い出せる可能性がありますので、試してみてください。
さきほど、英語4技能に、4技能の土台となる「語彙力」「文法力」をプラスした「6技能」の習得を目指している、と話しましたが、これらの基礎を固めた生徒に対してはライティング、スピーキングの時間を多く設けることで、「表現力」を鍛えています。
例えば、ひとつの日本語表現を複数の英語表現で考えてもらって発表してもらいます。表現のバリエーションを増やすことで前置詞など文法の復習にもなりますし、論理性を鍛えることもできます。
正しい表現を学ぶためにはプロの指導が必要になりますので、独学での勉強に不安がある方はぜひ当塾で「英語を使える楽しさ」を知っていただきたいと思います。
大学入試においては文系・理系のどちらを目指している場合でも英語は必須科目であり、大学入試の合否を左右する科目です。
今後はますます入試形式が多様化していくことが予想され、英検などの資格を持っていればチャンスが広がることは間違いありませんので、英語を好きになるきっかけを見つけて試験対策を行い、民間の英語検定などに挑戦して希望の進路を実現するための「武器」を増やしてほしいと思います。
英語が母国語ではない日本人が「話す力」「書く力」をつけるためには、「聞く力」「読む力」を身につける必要がある。
これらの土台となるのは、豊富な「語彙力」、正しい「文法力」である。
聞き手・構成:河村 卓朗