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【東洋大学】「多教科型入試」「数学必須入試」で目指す次世代の教育とは?

東洋大学が入学者選抜方式に込めたメッセージを読み解く

  • 大学・短期大学進学 2021年 09月28日

「入試は大学からのメッセージである」。東洋大学の入試広報を統括する加藤建二入試部長は、数年前から一貫してこう語る。

「多教科型入試」「英語外部試験利用入試」「数学必須入試」など、先進的な選抜方式とWebによる情報発信で注目を集める同大学は、「入試改革元年」を経て、どのような手応えをつかんでいるのか。

2021年度入試の振り返り、そして、2022年度入試の展望について話を聞いた。

(聞き手・構成 河村卓朗)

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4教科・5教科型入試の志願者数が2教科型を超える

―2021年度一般選抜を終えて、結果から見えた傾向についてお聞かせください。

 入試改革、そしてコロナ禍が重なった2021年度入試は、首都圏・近畿圏の人気私立大学が軒並み志願者数を減らすという結果になり、東洋大学も少なからずその影響を受けました。

 これは、少子化という大きな流れに加え、コロナ禍を背景にした地元志向の高まりを反映したものです。首都圏・近畿圏の各大学は今後、延べ志願者数を増やすような入試広報戦略を脱し、目指す教育に共感して集まる入学者を確保する努力が求められるでしょう。

 大切なのは、延べ志願者を増やすことではなく、複数の合格を得た受験生から選ばれる大学になることです。

 東洋大学は、今回の入試改革の議論が出るずっと前から、理想の教育を実現するための入試方式を模索してきました。その象徴といえるのが、「多教科型入試」です。2011年度から4教科型入試、2016年度から5教科型入試を導入し、2021年度はついに、4教科・5教科型入試の志願者数が、2教科型入試の志願者数を超えました。

 また、全13学部での英語外部試験利用入試も継続実施。利用者は全体の42.8%に達し、確実に定着してきた手応えがあります。

 さらに、経済学部をはじめとする文系8学部で数学必須入試も拡大しています。こうした選抜方式の影響もあってか、入学者における学力上位層の割合が顕著に増えています。

 

―経済学部経済学科では、数学必須入試での入学者が8割を超えたとお聞きしています。その狙いとは?

 現代の社会を見ていれば、文系学生もプログラミングや統計学など数学をベースとした知識が強みになるのは明らかです。

 東洋大学の経済学部経済学科では、2011年度から数学必須入試を導入してきました。10年かかって、ついに学部の8割の学生が数学の素養を持つ環境を実現できたことになります。2021年度入試に関しては、早稲田大学の政治経済学部が一般選抜で「数学必須」に踏み切った影響も大きいですね。

 数学必須入試の利用者は、入学後も積極的に授業での議論に参加するなど、さまざまな場面で活躍しています。これは多教科型入試利用者にも言えることですが、やはり幅広く学んできた学生は、ポテンシャルが高い。今こそ高校の文理選択という概念を変えていくときかもしれません。

 

―東洋大学は、英語外部試験利用入試も積極的に導入しています。

 次世代の若者たちが生きていく社会で、英語力国際的なコミュニケーション力が求められることも間違いありません。

 コロナ禍で海外渡航が難しい時期が続いていますが、世界から孤立したまま日本の社会が成立するはずはありません。コロナ禍が落ち着けば、国際系・観光系学部の海外プログラムも再開されるでしょう。

 そのためにも今こそ、英語外部試験で英語力を高める時期なのではないでしょうか。英語外部試験の結果は、学力だけでなく、高校3年間の努力を評価する狙いもあります。

 東洋大学では、検定取得の経費をサポートする意味合いもあり、英語外部試験利用入試の検定料を2万円に減額しています。これも「こういう学生がほしい」という大学からのメッセージなのです。

  • 従来35,000円の一般選抜検定料が英語外部試験利用方式の場合、20,000円に減額される。

 

入試情報サイトTOYO Web Styleでオンライン個別相談に対応

―コロナ禍で入試情報をいかに入手するかも課題になっています。

 今年も各大学のオープンキャンパスの対面実施は限定的になるでしょう。東洋大学は、ずっと以前からWebサイトを使った広報に力を入れてきました。コロナ禍でその反響は確実に大きくなっています。

 入試情報サイト「TOYO Web Style」では、現在、600講座以上のWeb体験授業を無料で視聴できます。2020年度は、年間50万PVを記録しました。

 また、「TOYO Web サポート」では、年間約4000件のオンライン個別相談を受け付けました。コロナ前からの蓄積が、今大きな力になっているのを感じます。

 

―東洋大学の2022年度入試で注目すべき点はありますか?

 2022年度入試の変更点としては、大学入学共通テスト利用入試前期で、英語外部試験利用入試を導入します。高校時代から英語力を高めてきた受験生には、有利な選抜方式になるでしょう。

 コロナ禍で経済的な不安を抱える受験生には、学費がリーズナブルな「第2部・イブニングコース」があることも知ってほしいですね。特に「総合型選抜」や「学校推薦型選抜」など年内に合否が決まる入試が狙い目だと思います。

 

入試は大学が目指す教育を受験生に伝えるメッセージ

―最後に受験生にメッセージを。

 コロナ禍という不安な状況もあり、どうしても「入れる大学」を選ぶ傾向があります。

 しかし、大切なのは、「やりたいことを実現できる大学」を選ぶことです。まずは、勉強の合間に東洋大学のWeb 体験授業などを見て、学びの視野を広げて、やりたいことを見つけてほしいですね。

 また、再三申し上げていますが、「入学者選抜」は大学が目指す教育を受験生に伝えるメッセージです。「多教科」「数学必須」「グローバル」といった問いかけの向こうにどのような学びがあるのか想像してみてほしいと思います。

 

入試情報サイトTOYO Web Style

東洋大学では、2013年から紙の大学案内を廃止し、100%ネット出願に移行。同じタイミングで、入試情報サイトTOYO Web Styleをスタートした。

2015年から「Web 体験授業」のコンテンツを拡充させ、現在では640講座が視聴可能。

2017年からオンライン個別相談の「TOYO Web サポート」の運用も開始し、2020年度は年間50万PV、オンライン相談件数は3,938件(2020年5月〜2021年3月末)にのぼった。

時代を先取りした取り組みが、コロナ禍によってクローズアップされ、他大学からも注目を集めている。

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https://www.toyo.ac.jp/nyushi/

 

 東洋大学 理事・入試部長
 加藤 建二

  PROFILE
 1987年、学校法人東洋大学入職。教務部、入試部、総務部などを経て、2013年から入試部長。14年から学校法人東洋大学理事。職員生活34年中21年が入試部勤務。
(13年から紙の大学案内を廃止、オールインターネット出願に移行し、入試情報サイト「TOYOWebStyle」を始める)

 

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