受験生は安心して準備に取り組んでほしい
大学入試改革元年となる今年。私立大学の一般選抜は昨年までとどう変わるのか? 全国トップクラスの志願者を集める「MARCH」の雄、法政大学はこれまで通りの入試スタイルを踏襲して受験生を迎える方針だ。
合格者数が増加傾向に変わりつつある、最新の難関私立大学入試の動向と併せて、入学センター長の菊池克仁さんに入試のポイントについてお話を伺った。
ここ数年、2016年からスタートした入学定員厳格化の影響で入学できる学生の数そのものが減りましたので確かに受験倍率が上がる傾向にありました。しかし、2年前から状況は変わりつつあります。本学を例にすると、2年前(18年度)の一般入試から志願者は2年連続で減少し合計で2万人近く減りましたが、一方で合格者数は1000人少々増やしています。
昨年の入試では追加合格者数を1500人ほど出していますが、それでも最終的な入学者数は100%をわずかに切り、約98%でした。他の大規模大学も似たような傾向にあるようで2年前と比べて合格者数が増えている大学が多いですね。
今度の入試は、安全策で年内入試を選択する受験生が多いようなので一般選抜そのものを受ける受験生の減少による志願者減は考えられます。一方、大手私立大学の中には定員割れを起こしている大学が少なくないことを鑑みれば、合格者数が増える傾向が続く可能性があります。昨年のように、一定数の追加合格者が出ることも考えられます。
入学定員厳格化の制度は変わっておらず、大規模私立大学であれば入学定員の1・1倍(110%)を超えないようにしないとペナルティを受けてしまうので、最初の合格発表は控えめに出さざるを得ません。
そして入学手続きの状況を見ながら、入学者が不足する見込みであれば、2月下旬ころから3月末にかけて段階的に追加合格を出して最終的に入学定員を満たす。この繰り上げ合格で入学者数を充足させる方法は入学定員厳格化が続く限り、大規模私立大学は継続せざるを得ないでしょう。
今年は入試改革元年でありながら、更にはコロナ禍という想定外の出来事もあり、不安を感じる受験生が多いと思います。本学の一般選抜はこれまで通り、多様な入試方式は維持しつつ、大きく内容は変えずに実施します。受験生の皆さんは、例年と同様に過去問や過去の合格最低点などを参考にしながら、安心してしっかりと受験の準備に取り組んでください。
法政大学の一般選抜は2科目型のT日程(統一入試)、3科目型のA方式入試、実質1科目で受験できる英語外部試験利用入試(以下、英語外部入試)があります。大学入学共通テスト利用入試(以下、共通テスト入試)では共通テストの成績のみで合否判定をする3教科型(B方式)、5教科6科目型(C方式)があります。併せて5つの多彩な入試方式の中から自分に合った方式でチャレンジしてほしいですね。
たとえばT日程は2科目で受験できますが、英語外部入試では本学の各学部が指定する、英語民間検定のスコア(2019年2月以降に受検したもの)を提出すればT日程の英語が免除され、文系学部では国語または数学、理系学部では数学の実質1科目で受験することが可能です(T日程と英語外部入試の併願も可能)。今度の入試では法学部 政治学科とキャリアデザイン学部が新たに英語外部入試を実施しますので15学部のうち文系8学部、理系4学部で受験可能となります。
英語外部入試を利用する受験生は、英語の検定を受けるという目標を持つことで高校1・2年生のうちから計画的に勉強をしています。このように、ゴールを設定して勉強する習慣は大学で学ぶ時にも非常に役立ちます。
また、一般選抜における主体性評価はインターネット出願の際に100字から500字の高校生活における活動・経験を入力してもらいますが得点化はせず、入学後の学部での教育の参考データ等として活用します。
大学独自試験のA方式入試は3科目(グローバル教養学部は2科目)で合否判定をします。追加合格を出すのもこのA方式ですので本学に強い興味を持っている受験生はぜひ受験してもらいたいですね。
この試験では7割の得点率を目標にしてください。例年の傾向ですが入試問題の75%くらいが易問と標準問で構成されています。難問は2割くらいです。易問・標準問で取りこぼしがないようにすれば7割は決して難しいハードルではありません。そのためには苦手科目や分野を作らず、広く対応できる準備をしておくとよいでしょう。
また、A方式の選択科目として文系全学部で地理と政治経済を設定しています。地理で受験できる大学は限られていますので、地理が得意な受験生はチャレンジしてください。
なお、今年度から情報科学部の試験日が2月6日から、2月11日と14日になりますので、併願受験の機会が広がります。
大学入学共通テストの成績のみで合否が決まる共通テストC方式は、国公立大学の合格発表を確認してから入学手続きができるように手続締切日を3月24日に設定しています。国公立大学を目指して5教科6科目をバランスよく勉強してきた受験生にぜひ受験してもらいたい方式です。他にも3教科で受験できるB方式もあります。
また、新型コロナ感染等の特別措置については、全学部で共通テスト利用入試への振替を行います。
市ケ谷キャンパスのキャンパス整備も進み、充実した留学制度、自主マスコミ講座、公務員対策講座、その他にも熱意ある学生に応える制度や仕組みをたくさん用意しています。
受験本番では今年は特に体調管理に留意してください。受験対策で複数の大学を併願することも確かに必要ですが、受験が続くと体力的に厳しい場合もあります。本番で力が出せるようなスケジュール調整をしてベストを尽くしてください。
お話を伺った方
法政大学 入学センター長
菊池克仁 氏
取材・構成 SINRO!編集長 河村卓朗