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【玉川大学】大学4年間を価値あるものにする入試 独自の総合型選抜を実施

  • 大学・短期大学進学 2020年 09月16日

「全人教育」を教育理念として掲げ、手厚い指導で独自の人材育成に取り組む玉川大学。文系・理系の8学部を擁するこの総合大学では、入試改革を機に従来から力を入れてきた総合型選抜(旧AO入試)をさらに重視していく方針だという。

玉川大学のこれからの入学選抜のあり方について、坂井義孝入試広報部長にお話をうかがった。

総合型選抜の割合を定員の約1割から3割に引き上げる

―入試改革の目玉のひとつである「総合型選抜」について、貴学の方針をお聞かせください。

 入試改革元年ということもあり、国公立を含め、各大学が総合型選抜の募集人員の割合を大きくする傾向にあります。新型コロナウイルスの影響で、年内入試の募集が混乱状態にありますが、玉川大学は予定通り、総合型選抜重視の入試を行います。昨年までのAO入試の募集人数は、入学定員の1 割弱でしたが、2021年度の総合型選抜では、これを3割まで引き上げる予定です。

 玉川大学の総合型選抜は、いわゆる「青田買い」ではまったくありません。学力を担保するための出願条件もあります。各高校の調査書の評点平均だけでなく、英検、漢検、数学検定など外部の資格検定も評価の対象になります。ただ、今年度についてはコロナ禍の影響を考慮し、7月上旬に救済措置を公表しました。

 

―玉川大学は、以前から旧AO入試を非常に重視されてきました。その理由は、「大学4年間を価値あるものにするための入試」というコンセプトにあると伺っています。

 本学の総合型選抜は、玉川大学との相性を確認することを目的とした独自の手法で行います。まず、大前提として、総合型選抜への出願は「専願のみ」となります。合格したら、必ず玉川大学に入学してもらいます。だからこそ、徹底的に玉川大学を理解した上で、本学で学ぶ意欲、目的意識、志望する学部・学科で学ぶ学力を出願書類や面接でしっかり伝えてもらいます。

そして、玉川大学としても「この高校生なら玉川大学で充実した学生生活を送ることができそうだ」ということが確認できれば、合格になります。これまでは任意だった「個別面談」ですが、今年度から「個別面接」として必須にし、文章だけでは伝えきれない熱い思いも表現できるようにしました。受験生たちの高い意識に応えるだけの教育を提供している自信があるからこそ、こうした選抜方式を実現できるのです。

 私たちは総合型選抜を単なる受験のための手段だけではないと考えています。18年間を振り返り、将来を想像して、今を見つめる。高校3年生の今、自分自身と向き合うことは、受験という意味を越えて、これからの人生にとって大切な時間となるでしょう。

 

自分を知り、将来を考えるため独自の「準備ノート」を用意

―総合型選抜では、具体的にどのような方法で選考を行うのでしょうか?

 玉川大学の総合型選抜にあたる「総合型入学審査」は、9月出願のⅠ期、11月出願のⅡ期に分けて実施します。出願にあたっては、玉川大学の教育理念、各学部のアドミッション・ポリシーをしっかり理解してもらう必要があります。その上で、何を学び、何を身につけ、どう社会に貢献していきたいのかを出願書類や面接で伝えてもらいます。総合型選抜を受験する生徒には、高校の調査書に加え、出願書類にあたる「コミュニケーションシート」を提出してもらいます。

 コミュニケーションシート記入にあたっては、オープンキャンパスでの模擬授業への参加が必須になります。ここで、自分が興味をもっている分野のことを大学ではどのように学ぶのかを知ってもらい、その上で自分は大学では何を学び、何を身につけたいのかをじっくり考えてもらいます。

新型コロナウイルスの影響もあり、今年のオープンキャンパスは、高校3年生のみを対象に事前申込制で実施する予定です。こんな時期ではありますが、大学の雰囲気を知ってもらうために、十分な対策のもと、リアルな場の提供に踏み切りました。それでも、参加ができなかった受験生は8月下旬公開予定のWeb体験授業フェアを視聴することで有利不利なく受験していただけます。

 また、総合型選抜の出願書類と一緒に大学独自の「準備ノート」をお渡ししています。興味のある学問分野や理想の将来像について、記入しながらじっくり考えられる構成になっています。このノートを最後まで記入することで、自然と考えがまとまり、コミュニケーションシートが仕上がり、面接にもスムーズに臨めるようになっているのです。

 

―この「準備ノート」はかなり本格的な内容になっていますね。

 これをつくった目的は、コミュニケーションシートを書く材料を集めるために、受験生が自分自身を知り、大学を知り、自分と大学との相性を確認してもらうことです。なぜ玉川大学に入学したいのか、志望する学科で何を学びたいのか、将来はどうなりたいのかを深く考えることで、大学に入学する目的が明確になります。

これは、入学後のミスマッチをなくすために非常に重要なことです。また、入学の目的を明確にすることは、総合型選抜のあとに行われる学校推薦型選抜でもアドバンテージになります。もっと言えば、選抜方式にかかわらず、必要なことです。もしかしたら、この取り組みを進めるうちに、本当に入学したい大学は玉川大学ではないと気がつくこともあるかもしれません。

 一般的には、AO入試で入学した学生の成績は低迷する傾向にあると言われますが、本学の場合、旧センター利用試験で入学した学生に次いで、AO入学生の成績の伸びがいいケースが数多く見受けられます。

 

「本当に学びたいものがある大学」を選ぶこと

―最後に玉川大学に興味を持つ受験生、保護者、高校の先生にメッセージを。

 私は、「学歴」とは、「どこの大学を卒業した」という「学校歴」ではなく、「何を学び、何を身につけたのか」という「学修歴」であると考えています。受験生には、偏差値にとらわれることなく、自分を成長させてくれる大学、自分の物語を描ける大学を選んでいただきたいと思います。

 「大学で学びたいことは?」と聞かれると尻込みしてしまう生徒もいると思います。「様々なことに興味があって、学びたいことがひとつに決められない」という人もいるでしょう。本学のリベラルアーツ学部のように、8学部ある総合大学の利点をいかして幅広い分野の学びに触れられる学部もあります。ぜひ自分に合う学びの環境とはどのようなものか、広い視野で考えてみてください。しっかりと目的意識を持って入学することで、大学生活は何倍も充実するはずです。

 

玉川大学の総合型入学審査 準備ノートとは?
玉川大学では、「総合型入学審査」を受験する高校生全員 に出願書類と一緒に「準備ノート」を配布している。これは、 出願書類にあたる「コミュニケーショ ンシート」記入の準備をするためのものだが、その内容は、単なる出願準備の 枠を超えている。例えば、興味のあること、めざしたい仕事、高校と大学との 違いなど、自己分析に近い内容を記入するようにデザインされている。さらに、 玉川大学やめざす学部・学科の特色、模擬授業で学んだことを記入する スペースも用意されている。坂井入試広報部長によれば、「この準備 ノートは、どの大学をめざす上でも役に立つ」とのこと。「人を育てる」 を信条とする玉川大学ならではの受験生支援ツールだといえる。

 

Tamagawa_Shirno4.png 玉川大学 入試広報部長
 坂井義孝 氏

 PROFILE
大手予備校で受験生ならびに保護者の 進学指導を長年担当。全国の高校営業 を通じ、進路講演等も数多く手掛ける。 2015年より現職。

 

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