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【東洋大学】Webを駆使して最新情報を発信

全国の高校生に公正な受験機会を用意したい

  • 大学・短期大学進学 2020年 09月14日

「多教科型入試」など独自の選抜方式とWebによる情報発信で注目を集める東洋大学。「スーパーグローバル大学」採択校として、すでに全学部で「英語外部試験利用入試」も導入しています。2021年度入試改革、さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、入試はどう変わるのでしょうか。入試広報を統括する加藤建二入試部長に話を伺いました。

―新型コロナウイルスの影響を受け、高校の教育現場は大きな不安を抱えています。東洋大学では、どのような対応をされていますか?

 都道府県や地域によって、高校の休業期間が異なり、全国一律に教育が受けられない現状はもちろん把握しています。受験生、保護者、高校の先生方が不安になるのは当然のことでしょう。ここで大切になるのは、最新の入試情報をなるべく早く、正確に伝えていくことだと考えています。

 東洋大学では、新型インフルエンザが大流行した2009年の教訓を活かし、感染症にかかってしまった受験生を救済するために、毎年、全試験の予備問題を作成しています。今回のコロナ禍においても、試験期間中に罹患した受験生が出た場合に備え、別日程への振替や追試験の設定など想定できる限りの準備を粛々と進めている状況です。

 

―今年に限って、入試の内容を変更するということはあるのでしょうか?

 総合型選抜、学校推薦型選抜等の出願条件については、「2021年度バージョン」で柔軟に対応します。調査書については、高校3年次の評定を記載できない場合は、2年次までの成績で条件を満たしていれば出願を認めます。特別活動の成果については、臨時休業やスポーツ大会の中止・延期等で記載ができない場合は、その理由を記載した上で、当初参加を予定していた大会やコンクールの名称を記載できるようにします。また、英語外部試験のスコアなどの出願資格についても受検が難しい状況を踏まえ、出願資格に相当する能力があると学校長等が証明することで出願可能とします。さらに、緊急事態宣言の再発令等による緊急措置として、Web面接、Web試験への変更も視野に入れ、準備をしています。

 一般選抜についても通常通りにはいかないことを想定して、会場の収容人数制限、座席配置、試験監督者などのマスク・フェイスシールド着用などの準備を進めており、安心して受験できるよう、なるべく早く発表する予定です。

 

「多教科型」「英語重視型」の入試をさらに拡充する

―もともと2021年度入学者選抜は、改革後の新入試として注目されていました。東洋大学として、従来からの変更点はあるのでしょうか?

 各学部のアドミッションポリシーに合わせた入学者選抜の方針は、従来から大きく変わることはありません。まず、入学者の能力を多面的・総合的に評価するために5教科・4教科の「多教科型入試」を拡大していく方針です。これは、2012年度から導入している方式で、複数教科の学習習慣がある学生たちは、入学後も着実に学びを深め、周囲に刺激を与える存在になっています。また、スーパーグローバル大学採択校として、「英語外部試験利用入試」もさらに拡充していきます。

 新型コロナウイルスの影響で、短期的にはグローバル志向の失速、理系シフトが予想されます。注目度の高かった国際系、観光系の学科は少々厳しい時代に突入することになるかもしれません。しかし、次世代の若者たちが生きていく社会は、世界から孤立していては成立しません。今の高校1年生が大学を卒業し、社会に出る7年後にどのような社会が待っているかなど誰にもわかりません。未来の予測が難しいコロナ禍の今だからこそ、大人が、短期的な視点で子どもたちの選択肢を狭めるようなアドバイスだけはしてはいけないと思います。

 これからの時代、文系も理系も英語力が必須になるのは間違いありません。また、文系の学生もプログラミングや数学的な知識が当たり前に求められるようになるでしょう。こうした流れを受け、東洋大学では経済学部経済学科で、入学後の学びで必須の知識となる数学を合否判定に含む入試の募集人員を拡大しています。同学部の2020年度一般入試における入学者の59・1%は、数学必須の入試をパスして進学しています。

 

Webを駆使した情報発信で最新情報を各高校に提供

―東洋大学は、以前からインターネットでの情報発信に力を入れてきました。コロナ禍において、その蓄積が大いに活かされているのでは?

 ご存じのとおり、オープンキャンパスや各種進学相談会、高校教員向け説明会などが軒並み中止になっています(2020年6月末時点)。東洋大学は、もともと紙の大学案内や入試要項を廃止し、広報媒体の中心を公式サイトである「TOYOWebStyle」に移行していました。同サイトでは、高校教員向けの「高校マイページ」やWeb相談に対応する「TOYOWeb サポート」を行っていたので、コロナ禍においても比較的スムーズに入試に関する問い合わせ対応ができています。

 「TOYOWebStyle」のコンテンツ拡充にも力を入れています。特に開設当初から専任教員による特別授業動画「Web体験授業」をストックしており、その数はすでに600本以上にのぼります。これは単なる授業動画ではなく、学部学科選びのコツや志望学科でどのような研究ができるかを高校生にわかりやすく紹介しています。大学の学びの仕組みを知る上でも大いに役立つコンテンツになっていると自負しています。コロナ禍で困難な状況におかれた受験生も多いと思いますが、このような時期だからこそ、東洋大学の「Web体験授業」を見て、将来についてじっくり考えてほしいですね。

 Webを使った入試や情報発信の環境が整えば、地域間の格差をなくすポジティブな効果も出てくるでしょう。オンラインならば、地方に住む高校生も同じ条件でオープンキャンパスに参加できます。私は幅広い情報提供によって全国の高校生に公正な受験機会を提供することこそが入試広報の役割だと考えています。

 

―最後に受験生にメッセージをお願いします。

 この不安な状況下で、受験生たちはますます「安全志向」になることが予想されます。ただ、大学に入学することや資格を取得することは、人生の目標にはなりません。進学した大学で興味のある分野を学び、この激動の世の中を生き抜く力、ものごとの本質を見抜く力を身につけることこそが大切なのです。そのために高校生ができることは、基本に立ち返って勉強することだと思います。まずは知識を増やして、視野を広げて、じっくりと進学先を選んでほしい。コロナ禍のこの期間を「自分を見つめ直す時間」として有効活用してほしいと思います。

 

新型コロナウイルス感染拡大に伴う主な入試対応
総合型選抜・学校推薦型選抜
・調査書に高校3年次の成績が記載できない場合は、2年次までの成績での出願を認める
・スポーツ大会の中止・延期等で調査書に特別活動の成果を記載できない場合は、当初参加を予定していた大会やコンクールの名称を記載可能とする
・英語外部試験などの出願資格については、学校長等による能力の証明で出願可能とする
・緊急措置として、Web面接、Web試験への変更も想定

一般選抜
・試験会場の収容人数制限、座席配置の調整など「三密」対策を徹底する
・感染してしまい受験できなかった生徒を救済するため、「別日程への振替」や「追試験」を実施する

 

東洋大学 加藤建二理事.png 東洋大学 理事・入試部長
 加藤 建二 氏

 PROFILE
 1987年、学校法人東洋大学入職。教務部、入試部、総務部などを経て、2013年から入試部長。14年から学校法人東洋大学理事。職員生活33年中21年が入試部勤務。
(13年から紙の大学案内を廃止、オールインターネット出願に移行し、入試情報サイト「TOYOWebStyle」を始める)

 

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