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2020年の私大 一般選抜を予測する

  • 大学・短期大学進学 2020年 09月01日

来年2月から実施される一般選抜(これまでの一般入試)は、コロナ禍の影響で試験の実施そのものが危ぶまれるなど、不確定要素が多い。今年の私大一般選抜はどのような展開になるのか、予想してみたい。

2020年の大手私大を取り巻く一般選抜はいまどんな状況なのか?を説明したい。

大きなポイントは、志願者が減り、合格者数がかなり増えるなど、定員厳格化による絞り込みもだいぶ緩和されてきたこと。一方で受験生の学力レベルは上昇傾向。3月の繰り上げで大量に合格者が出されて結果的に前年より合格者が増えている状況だ。3月末までの長期戦を戦う覚悟があればチャンスがあるかもしれない。

以下で詳しく解説する。*総合型選抜に関する記事はコチラ

 

一昨年(18年)<今春(19年)、大手私大の合格者数がかなり増えてきている!

各大学が公表している入試結果データを調べてみると、一昨年の2018年入試から、いわゆる日東駒専やMARCHと呼ばれる大手総合私大の合格者数が増加に転じてきていることが読み取れる。

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特に日東駒専の合格者数増加はめざましく、今春は日大が約5300名、東洋大、専修大がそれぞれ約3000名、駒澤大が約1000名も前年より合格者数を増やしている。

しかも、日大以外の3校は志願者数が減っているので、合格倍率も一昨年に比べてマイルドになったことだろう。

MARCHに関しては、20年度・19年度の比較では合格者増がそれほどでもないが、ここ数年で最も絞り込みが厳しかった18年度と比較すると約900名~1800名ほど、各校で合格者数が増えている。

2年連続でいくらか絞り込みが緩和されてきていることが読み取れる。

数字だけを見ると、だいぶ大手私大が受けやすくなった感じがするが必ずしも正解ではない。その理由を下記で解説する。

 

学力の高い受験層が増えている、一般選抜の流れとは!?

大規模私大の一般選抜のスケジュールはだいたい、2月頭から大学独自の前期入試、センター試験利用型入試(今年から大学入学共通テスト利用型となる)前期、2月の中後半から3月にかけて大学の独自試験やセンター試験利用型の中期・後期試験がある。

ちなみに、MARCH以上の難度の大学は中・後期試験をほとんど実施していない。ここで何が起きるかをまず説明しよう。

 

最近の一般選抜を受ける層は進学校ばかり?!

最近の一般選抜を受ける層の主力は、いわゆる進学校の受験生で学力が高い人たちだ。これは実際に各大学の合格者が多い高校をご覧いただければわかると思う。

逆に、日東駒専やMARCHを第一志望に考えている受験層は、ここ数年の入学定員厳格化などの影響で高倍率化した一般選抜を敬遠し、指定校制推薦や総合型選抜でもう少し難度が低い大学の合格を手堅くゲットする方向に大きく流れている。

一般選抜における難関私大の志願者数が減ったのも、このような理由で一般選抜を敬遠する受験生が増えた面が大きいと思われる。今、一般選抜を受ける受験生は「精鋭ぞろい」と理解しておきたい。

学力の高い私大受験層はまず、前期試験で本命(早慶上智MARCHなど?)を受けつつ、成成明学獨國武・日東駒専や大東亜帝国、場合によってはもう少し難度が低い地元大学などを併願で受ける。

結果、併願先で複数の合格をゲットする人が多い。すると、どうなるか?

ケース①
 前期試験で本命に受かった受験生の併願校入学辞退が相次ぐパターン

無事に志望する難関大のどこかに受かれば、その他の合格した大学からは入学辞退をする。

併願校に位置づけられる大学ほど、入学辞退者が多くなる傾向にあり、予定していた入学者数が集まらない。ではそうなった大学はどうするか?

 

中・後期試験で「(前期試験で取るつもりだった入学予定者が)足りない分」まで含めて合格者を出す。

つまり、中・後期試験の合格者総数が増えるというパターンだ。これは今春、実際に複数の大学で起きている。

 

ケース②
 受かった併願校で入学手続きをしたら3月後半に本命校から繰り上げ合格通知が来た!

難関大は中・後期試験がないところがほとんどなので、落ちた場合は前期に受かったいくつかの併願校の中から行く大学を決めて入学手続をすることになる。

そして、その大学で頑張ろうと気持ちの整理がついてきた3月末にまさかの本命校からの繰り上げ(補欠)合格通知が来るパターン。これは受験生としたら土壇場の大逆転なので、併願校に払った入学金を捨ててでも、本命校を選ぶ人が多いだろう。

例えば、早稲田が3月中下旬頃に繰り上げ合格を出すと、MARCH合格者(早稲田と併願する人が多い)などから、早稲田に抜ける人が発生する。

ここで入学予定者を抜かれた大学は、このままでは空きが出てしまうので繰り上げ合格を出す。この「入学予定者の抜けと抜き返し」が難度に沿ってダルマ落としのように3月30日頃までずっと続くのだ。抜かれた大学は繰り上げ合格を出して、ギリギリまで空きを埋めにかかる。

 

要するに、学力が高い層が「押さえ」で受けた大学では、1と2のパターンで入学辞退がたくさん発生するので、ここ2年ほどは3月に入ってから追加合格をたくさん出す大学が増え、合格者数の総数も増えたのだ。

決して前期試験が受かりやすいわけではないのでそこは誤解しないでほしい。

冒頭に紹介した日東駒専の合格者数が非常に増えている件に話を戻すと、「入学辞退した(=第一志望ではない)」合格者が多かったので、中・後期試験や繰り上げで合格をたくさん出した可能性が高いということなのだ。

だから、本当に日東駒専やその前後の難度の大学を目指したい人は、しっかり勉強するという大前提のもと、前期試験を受けて(これは強豪たちと戦うから厳しいけど、受けておかないと繰り上げに選ばれない)、不合格なら中・後期も受けて、どこかで受ければよし。

ダメでも3月末まで粘れば繰り上げ合格がゲットできるチャンスがあるかもしれないということだ。

しかし、今年の一般選抜はただでさえコロナ禍で入試がどのように実施されるかも不透明な状況なので強くお勧めはできない。

しかし、最近の大手私大の合格者数は3月に入ると「相当な」繰り上げ合格がでて、増加に転じているという状況は知っておいても損はないだろう。ただ、今年も100%そうなる保証はどこにもないのだが…

(文責 SINRO!編集長 河村卓朗)

 

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