大学だけではない「高等教育無償化」。
自分自身が支援の対象か、進学先の専門学校が適応しているか、それぞれ確認が必要。
2020年度から始まる低所得世帯を対象とした高等教育の無償化制度で、適用対象となる学校が9月20日に公表された。
一般には「大学無償化」といわれることもあるが、短大や高専、そして専門学校も対象となることは見逃せない。専門学校は2年間の課程が多く、卒業までの学費が200万円台という学校が中心となるため大学に比べて進学しやすいが、それでも経済的な理由からあきらめる高校生が少なくなかった。
新制度は住民税が非課税の世帯とそれに準ずる世帯の学生を対象に、給付型奨学金の支給や入学金・授業料の減免を行うもの。
一般的に、入学する前に入学金と前期の授業料を納入しなければならない学校が多く、まとまった金額を準備できないことが進学をためらう理由の一つとなっていた。入学金・授業料の減免とともに、今後は対象となる学生の納入期限を繰り下げることなども検討されるとのことで、柔軟な対応が期待される。
今回は約62%の専門学校が適用対象となった。定員に対して学生数が少なすぎないことや、実務経験のある教員を配置することなどの条件を満たした学校が認定されている。認定に際しては、今まで以上に学生数やカリキュラムの詳細などの情報を一般に公開することが求められるため、教育活動の透明性が高まるという点では、無償化の対象とならない受験生にとってもメリットだろう。
自分が支援の対象となるかどうかは、JASSO(日本学生支援機構)のウェブサイトにある支援額シミュレーターでおおよその目安を知ることができる。
対象になりそうだったら、高校生なら高校で申請書類を受け取って手続きを進めるという手順だ。このときマイナンバーが必要になるので準備しておくとよいだろう。採用には、家庭の収入や資産の状況のほかに、高校の成績(評定平均3.5以上)が考慮されるが、評定平均がそれに満たない場合は、レポート提出や面談などで学習意欲があるかどうかを判断するという。
今までは奨学金といえば貸与型が主流だった。これは入学後に貸与されるため、入学金などの納入期限に間に合わず、その資金がない家庭の受験生にとっては絵に描いた餅となってしまっていたが、新制度によって希望する進学を実現できる人が増えそうだ。